急性心筋梗塞の発症後の血液検査所見で上昇がみられないのはどれか。
- クレアチニン
- トロポニンT
- ミオグロビン
- 乳酸脱水素酵素(LD)
- クレアチンキナーゼ(CK)
解答解説
正解は1.クレアチニンです。
クレアチニンは腎機能を評価する指標であり、急性心筋梗塞(AMI)そのものによる上昇は通常ありません。AMIでは心筋細胞が壊死することで、心筋特異的な酵素やタンパク質(トロポニンT、ミオグロビン、CK、LDなど)が血液中に放出され、その濃度が上昇します。
選択肢の解説
- クレアチニン
クレアチニンは腎機能を反映する指標であり、心筋梗塞そのものでは上昇しません。ただし、腎機能障害を伴う場合や合併症として心原性ショックが生じた場合には上昇することがあります。この選択肢が正しいです。 - トロポニンT
トロポニンTは心筋細胞の壊死に伴い血中に放出される心筋特異的マーカーで、心筋梗塞の診断に最も有用です。発症数時間以内に上昇し、10日程度持続します。この選択肢は誤りです。 - ミオグロビン
ミオグロビンは心筋や骨格筋の細胞内に存在する酸素結合タンパク質であり、急性心筋梗塞の発症後1~3時間以内に上昇します。この選択肢は誤りです。 - 乳酸脱水素酵素(LD)
LDは細胞の壊死に伴って放出される酵素で、心筋梗塞の発症後24~48時間で上昇し、3~6日でピークに達します。この選択肢は誤りです。 - クレアチンキナーゼ(CK)
CKは筋肉由来の酵素であり、心筋梗塞では特にCK-MBというアイソザイムが特異的に上昇します。発症後3~6時間で上昇し、12~24時間でピークに達します。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
急性心筋梗塞の診断では、心電図所見とともに、トロポニンTやCK-MBの測定が不可欠です。また、血液検査の各指標の上昇時期や持続時間を理解することで、発症時期の推定や治療効果の評価に役立ちます。クレアチニンは腎機能の評価指標であり、心筋梗塞の直接的な影響で上昇することはない点を押さえましょう。