進行性核上性麻痺について正しいのはどれか。
- 延髄が萎縮する。
- L-Dopaが著効する。
- 頸部が前屈位となる。
- 垂直方向の眼球運動障害を呈する。
- MIBG心筋シンチグラフィーで心/縦隔比が低下する。
解答解説
正解は4.垂直方向の眼球運動障害を呈するです。
進行性核上性麻痺(PSP)は、垂直方向(特に下方)の眼球運動障害が特徴的です。この症状は中脳の神経核(特に上丘)の障害によるものです。その他、姿勢保持障害や認知機能低下などが進行性に現れる疾患です。
選択肢の解説
- 延髄が萎縮する。
PSPでは中脳の萎縮が特徴的で、延髄萎縮は目立ちません。延髄萎縮はむしろ筋萎縮性側索硬化症(ALS)などに関連する症状です。この選択肢は誤りです。 - L-Dopaが著効する。
PSPではパーキンソン病と異なり、L-Dopaの効果は乏しいです。ドパミン神経系以外の広範囲な障害が関与しているためです。この選択肢は誤りです。 - 頸部が前屈位となる。
PSPでは頸部が後屈する特徴があります。これはパーキンソン病の前屈位とは対照的です。この選択肢は誤りです。 - 垂直方向の眼球運動障害を呈する。
PSPの診断で特に重要な所見であり、下方への眼球運動障害が初期症状として現れることが多いです。この選択肢が正しいです。 - MIBG心筋シンチグラフィーで心/縦隔比が低下する。
MIBG心筋シンチグラフィーで心/縦隔比が低下するのは、主にパーキンソン病に特徴的な所見であり、PSPでは通常低下しません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
進行性核上性麻痺(PSP)は、垂直方向の眼球運動障害、頸部後屈、姿勢保持障害が主要な特徴です。パーキンソン病と症状が重なる部分も多いため、鑑別点(眼球運動障害やL-Dopa抵抗性)をしっかり覚えておくと診断に役立ちます。