第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題88

心原性脳塞栓症の原因として誤っているのはどれか。

  1. 卵円孔開存
  2. 拡張型心筋症
  3. 三尖弁狭窄症
  4. 慢性心房細動
  5. 感染性心内膜炎

解答解説

正解は3.三尖弁狭窄症です。
心原性脳塞栓症は心臓内に血栓が形成され、それが血流に乗って脳血管を閉塞することで生じます。三尖弁狭窄症は右心系に問題が生じる疾患であり、通常、脳への血栓を直接引き起こすことはありません。一方、左心系の異常(心房細動、卵円孔開存など)が主な原因です。

選択肢の解説

  1. 卵円孔開存
    卵円孔開存は、右心房から左心房へ血液がショートカットする構造で、静脈血中の血栓が脳に到達するリスクを高めます(奇異性塞栓)。心原性脳塞栓症の原因となり得るため、この選択肢は正しいです。
  2. 拡張型心筋症
    拡張型心筋症では、心腔内の血流が停滞しやすく、血栓が形成されやすいため、脳塞栓症の原因となります。この選択肢は正しいです。
  3. 三尖弁狭窄症
    三尖弁狭窄症は右心系に影響を与える疾患であり、肺循環に血流が停滞するものの、脳塞栓症には直接関与しません。この選択肢が誤りです。
  4. 慢性心房細動
    慢性心房細動は左心房内で血流が停滞し、血栓が形成されるリスクが高い状態です。心原性脳塞栓症の最も一般的な原因の1つです。この選択肢は正しいです。
  5. 感染性心内膜炎
    感染性心内膜炎では心内膜や弁に形成された感染性血栓(疣贅)が血流に乗り、脳塞栓を引き起こすことがあります。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

心原性脳塞栓症の主な原因は、左心系で血流が停滞しやすい状態(心房細動、心筋症、弁膜症など)や、卵円孔開存などの奇異性塞栓です。一方、右心系の異常は通常、脳塞栓には関与しません。原因疾患の病態を整理して理解しましょう。