第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題82

Tinel徴候が陽性となるのはどれか。

  1. 視床症候群
  2. 手根管症候群
  3. Cushing症候群
  4. 内側縦束症候群
  5. Shy-Drager症候群

解答解説

正解は2.手根管症候群です。
Tinel徴候は、神経の再生部位や圧迫部位を軽く叩いたときに放散痛やしびれが生じる反応を指します。手根管症候群では、手根管部を叩くと正中神経支配領域(母指、示指、中指、薬指外側)のしびれや痛みが誘発され、Tinel徴候が陽性となります。

選択肢の解説

  1. 視床症候群
    視床症候群は視床の損傷による痛みや感覚障害が特徴であり、Tinel徴候のような神経圧迫や再生に伴う症状とは関係がありません。この選択肢は誤りです。
  2. 手根管症候群
    手根管症候群は正中神経が手根管内で圧迫されることによる疾患であり、Tinel徴候が陽性となる代表的な疾患です。この選択肢が正しいです。
  3. Cushing症候群
    Cushing症候群は副腎皮質ホルモンの過剰分泌により引き起こされる代謝性疾患で、Tinel徴候とは無関係です。この選択肢は誤りです。
  4. 内側縦束症候群
    内側縦束症候群は中枢神経系の障害で、眼球運動や姿勢制御に関与する神経束の損傷によるものです。末梢神経の圧迫や再生と関連するTinel徴候はみられません。この選択肢は誤りです。
  5. Shy-Drager症候群
    Shy-Drager症候群は自律神経系の変性疾患で、Tinel徴候のような末梢神経障害の徴候は含まれません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

Tinel徴候は、末梢神経障害や再生過程を評価する重要な臨床所見です。特に手根管症候群や肘部管症候群などの神経圧迫症候群でよくみられます。手根管症候群ではTinel徴候とPhalenテストを併用して診断精度を高めることが重要です。