第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題22

対応がなく正規分布を示さない連続変数の3群間の差を検討するのに用いるのはどれか。

  1. 相関分析
  2. 分散分析
  3. Paired-t 検定
  4. Kruskal-Wallis 検定
  5. Mann-WhitneyのU検定

解答解説

正解は4.Kruskal-Wallis 検定です。

Kruskal-Wallis検定は、正規分布を示さないデータや順序尺度データにおいて、3群以上の独立した群の差を比較する非パラメトリック検定法です。対応がなく正規性の仮定を満たさない場合に適しており、各群の中央値の差を検討します。

選択肢の解説

  1. 相関分析
    相関分析は、2つの連続変数間の関係を評価する手法であり、群間の差を検討する目的には用いられません。この選択肢は誤りです。
  2. 分散分析
    分散分析(ANOVA)は、3群以上の平均値の差を検討するための手法ですが、正規分布と等分散性を仮定するため、正規分布を示さないデータには適していません。この選択肢は誤りです。
  3. Paired-t 検定
    Paired-t検定(対応のあるt検定)は、対応のある2群間の平均値の差を比較する際に用います。3群以上や対応がないデータには適用できません。この選択肢は誤りです。
  4. Kruskal-Wallis 検定
    Kruskal-Wallis検定は、対応がなく正規分布を示さないデータにおける3群以上の差を検討するのに適した非パラメトリック手法です。この選択肢は正解です。
  5. Mann-WhitneyのU検定
    Mann-Whitney U検定は、2群間の差を検討する非パラメトリック検定です。3群以上の比較には使用できません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

データの性質(正規分布の有無、群の数、対応の有無)によって適切な統計手法を選ぶことが重要です。特に非正規分布のデータに対しては、Kruskal-Wallis検定(3群以上)Mann-Whitney U検定(2群)を使い分けることを覚えておきましょう。また、分散分析は正規性を仮定していることを確認するのもポイントです。