第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題81

老年期における精神保健上の問題として正しいのはどれか。

  1. 自我同一性の獲得
  2. エディプス葛藤
  3. 空の巣症候群
  4. モラトリアム
  5. 社会的孤立

解答解説

正解は5.社会的孤立です。
老年期には、退職や家族の独立、友人や配偶者の死別などにより、社会的なつながりが希薄になることがあります。これが社会的孤立を招き、うつ病や認知症のリスクを高めることが精神保健上の大きな課題です。社会的孤立は老年期の精神的健康に直結する重要な問題です。

選択肢の解説

  1. 自我同一性の獲得
    自我同一性の獲得は青年期の課題としてエリクソンが提唱したもので、老年期の課題ではありません。この選択肢は誤りです。
  2. エディプス葛藤
    エディプス葛藤はフロイトの理論で、幼児期における父母との関係に関連する心理的課題です。老年期の課題には該当しません。この選択肢は誤りです。
  3. 空の巣症候群
    空の巣症候群は中年期の課題であり、子供が家を離れて独立することによる心理的喪失感を指します。老年期の精神保健上の課題には該当しません。この選択肢は誤りです。
  4. モラトリアム
    モラトリアムは、青年期における社会的責任や義務からの猶予期間を指す概念で、老年期の課題ではありません。この選択肢は誤りです。
  5. 社会的孤立
    社会的孤立は老年期に特に顕著な問題です。孤立が進むと、精神的および身体的健康に悪影響を及ぼすため、積極的な介入や社会参加の促進が必要です。この選択肢が正しいです。

ワンポイントアドバイス

老年期の精神保健上の問題として、社会的孤立に加えて、うつ病、認知症、喪失感への対処が重要です。これらの問題を予防・軽減するためには、家族や地域社会とのつながりを保つことが大切です。老年期特有の課題を理解し、適切な介入方法を学びましょう。