42歳の男性。気管支喘息。ある薬物の吸入療法前後のフローボリューム曲線の変化を図に示す。この薬物によって生じた呼吸器系の変化として正しいのはどれか。
- 気道抵抗の低下
- 呼気筋力の増強
- 肺拡散能の改善
- 胸郭柔軟性の改善
- 肺コンプライアンスの増加
解答解説
正解は1.気道抵抗の低下です。
吸入療法後のフローボリューム曲線を見ると、吸入療法によってピークフロー(最大呼気流量)が向上し、呼気時の気流制限が軽減されています。この変化は、気管支喘息における気道の収縮が緩和され、気道抵抗が低下したことを示します。このような改善は、β2刺激薬や抗コリン薬などの気管支拡張薬によって引き起こされる効果です。
選択肢の解説
- 気道抵抗の低下
吸入療法後の曲線ではピークフローが増大し、呼気時の流量が全体的に改善されています。これは、気道平滑筋の弛緩や気管支の拡張によって気道抵抗が低下したことを反映しています。正解です。 - 呼気筋力の増強
呼気筋力(腹筋や肋間筋の筋力)は、吸入療法で直接的に改善されるものではありません。ピークフローの改善は筋力増強によるものではなく、気道抵抗の低下によるものです。この選択肢は誤りです。 - 肺拡散能の改善
肺拡散能(ガス交換効率)は、気道拡張薬よりも間質性肺炎や肺気腫などの疾患に関係します。本症例では肺拡散能の改善を直接示すデータはありません。この選択肢は誤りです。 - 胸郭柔軟性の改善
胸郭の柔軟性は主に拘束性障害に関連し、気道収縮が主な問題である気管支喘息では直接的な関係はありません。この選択肢は誤りです。 - 肺コンプライアンスの増加
肺コンプライアンス(肺の伸展性)は主に間質性肺疾患や肺気腫に関係します。本症例では肺コンプライアンスの変化を示唆するデータはなく、この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
フローボリューム曲線の改善が示すのは、気道の狭窄が緩和され、気流制限が改善したことです。気管支喘息では、吸入療法(気管支拡張薬)の効果として気道抵抗の低下が起こり、ピークフローや呼気流量が向上します。喘息の治療では気道抵抗の改善を最優先とすることを覚えておきましょう。