第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題63

微小循環について誤っているのはどれか。

  1. 物質輸送機構は拡散である。
  2. メタ細動脈は平滑筋を持つ。
  3. 毛細血管は内皮細胞を持つ。
  4. 血流速度は毛細血管の細静脈端で最速になる。
  5. 細動脈は血管抵抗を決定する主要部位である。

解答解説

正解は4.血流速度は毛細血管の細静脈端で最速になる。です。
毛細血管の血流速度は非常に遅く、これにより酸素や栄養分、老廃物の交換が効率的に行われます。血流速度は血管の総断面積に反比例するため、細静脈端で血流速度が最速になることはありません。微小循環の理解は、血流の調節や物質交換のメカニズムを把握するうえで重要です。

選択肢の解説

  1. 物質輸送機構は拡散である。
    毛細血管における主要な物質輸送機構は拡散です。酸素や二酸化炭素、栄養分は濃度勾配に従って拡散します。この選択肢は正しいです。
  2. メタ細動脈は平滑筋を持つ。
    メタ細動脈は細動脈から毛細血管への移行部にあり、平滑筋を持つため、血流調節に関与します。この選択肢は正しいです。
  3. 毛細血管は内皮細胞を持つ。
    毛細血管は内皮細胞の一層から構成され、ガスや物質の交換に特化しています。この選択肢は正しいです。
  4. 血流速度は毛細血管の細静脈端で最速になる。
    毛細血管の血流速度は非常に遅く、物質交換に最適化されています。血流速度が最速になるのは動脈や大静脈などの大血管であり、毛細血管の細静脈端で最速になることはありません。この選択肢は誤りです。
  5. 細動脈は血管抵抗を決定する主要部位である。
    細動脈は血管抵抗を決定する主要な部位であり、血流量や血圧を調節する役割を持ちます。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

微小循環の血流速度の特徴を理解するには、血管の総断面積との関係を押さえることが重要です。毛細血管では血流速度が遅くなることで、効率的な物質交換が可能になります。また、細動脈が血管抵抗を調節する点も、循環系の基本として覚えておきましょう。