第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題62

骨格筋について正しいのはどれか。

  1. 活動電位は筋収縮に遅れて発生する。
  2. 伸張反射の感覚受容器は筋紡錘である。
  3. 筋に単一刺激を加えると強縮が生じる。
  4. 神経筋接合部にはアドレナリン受容体が分布する。
  5. 筋小胞体から放出されたNa⁺がトロポニンに結合する。

解答解説

正解は2.伸張反射の感覚受容器は筋紡錘である。です。
伸張反射は筋が引き伸ばされた際に引き起こされる反射であり、感覚受容器として筋紡錘が関与します。筋紡錘は筋の長さの変化を感知し、主に運動ニューロンを介して筋収縮を引き起こします。この反射は、姿勢制御や運動の滑らかさに重要です。

選択肢の解説

  1. 活動電位は筋収縮に遅れて発生する。
    筋収縮のプロセスでは、活動電位は収縮に先行して発生し、カルシウムイオンの放出やアクチン-ミオシンの相互作用を開始します。この選択肢は誤りです。
  2. 伸張反射の感覚受容器は筋紡錘である。
    筋紡錘は筋線維の長さの変化や速度を感知する感覚受容器であり、伸張反射において重要な役割を果たします。この選択肢は正しいです。
  3. 筋に単一刺激を加えると強縮が生じる。
    単一刺激によって生じるのは単収縮です。強縮(ていしゅく)は、高頻度の刺激によって筋収縮が持続的に起こる現象です。この選択肢は誤りです。
  4. 神経筋接合部にはアドレナリン受容体が分布する。
    神経筋接合部にはアセチルコリン受容体(ニコチン受容体)が分布しています。アドレナリン受容体は交感神経の標的器官に存在するため、この選択肢は誤りです。
  5. 筋小胞体から放出されたNa⁺がトロポニンに結合する。
    筋小胞体から放出されるのはカルシウムイオン(Ca²⁺)であり、これがトロポニンに結合して筋収縮を開始します。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

伸張反射は、腱反射(膝蓋腱反射など)として臨床的によく評価されます。筋紡錘の機能を理解することは、神経系と筋の相互作用を把握するうえで重要です。筋紡錘とゴルジ腱器官の役割の違いも押さえておきましょう。