第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題95

de Quervain〈ドケルバン病〉で腱鞘炎を起こすのはどれか。

  1. 固有示指伸筋腱
  2. 尺側手根伸筋腱
  3. 総指伸筋腱
  4. 長母指外転筋腱
  5. 長母指伸筋腱

解答解説

正解は4.長母指外転筋腱です。
de Quervain〈ドケルバン病〉は、長母指外転筋腱短母指伸筋腱が通る第1コンパートメント(手首の橈骨茎状突起付近)で腱鞘炎が生じる疾患です。これにより、親指の動作や手首の使用時に痛みが発生します。

選択肢の解説

  1. 固有示指伸筋腱
    固有示指伸筋腱は第4コンパートメントを通る腱であり、de Quervain病の病態に関与しません。この選択肢は誤りです。
  2. 尺側手根伸筋腱
    尺側手根伸筋腱は第6コンパートメントを通り、手首の尺側に位置します。de Quervain病には関係がありません。この選択肢は誤りです。
  3. 総指伸筋腱
    総指伸筋腱も第4コンパートメントを通る腱であり、de Quervain病には関与しません。この選択肢は誤りです。
  4. 長母指外転筋腱
    長母指外転筋腱は短母指伸筋腱とともに第1コンパートメントを通り、de Quervain病の主な原因となる腱の一つです。この選択肢が正しいです。
  5. 長母指伸筋腱
    長母指伸筋腱は第3コンパートメントを通る腱で、de Quervain病の病態には関与しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

de Quervain病では、親指の使い過ぎや手首の過度の負担が原因で第1コンパートメントの腱鞘炎が発生します。臨床的にはフィンケルシュタインテストが診断に有用です。この疾患に関連する腱や解剖学的構造を正確に把握しておくことが重要です。