30歳の女性。
検診で早期の乳癌と診断され、乳房温存手術を予定している。
周術期理学療法を開始するにあたり、活動能力の評価方法で正しいのはどれか。
1.CFS〈cancer fatigue scale〉
2.FACT
3.KPS
4.PPI〈palliative prognostic index〉
5.TNM分類
解答解説
正解は 3.KPS です。
- KPS(Karnofsky Performance Status)
がん患者の全身状態や活動能力を評価するための指標です。スコアは0~100で表され、100は「正常な活動が可能」、0は「死亡」を意味します。周術期の理学療法では、患者の活動能力や日常生活動作(ADL)の把握が重要であり、KPSはその評価に適したスケールです。
選択肢の解説
- CFS〈cancer fatigue scale〉
CFSはがんに関連する疲労を評価するための指標です。活動能力全般を評価するわけではなく、疲労感の測定に特化しているため、活動能力の評価としては適しません。 - FACT
FACT(Functional Assessment of Cancer Therapy)はがん患者のQOL(生活の質)を評価するスケールで、身体的、社会的、感情的な側面も含めた評価が行えますが、活動能力を直接評価する指標ではありません。 - KPS
正解です。KPSはがん患者の全身状態や活動能力を評価する指標であり、周術期における活動能力の把握に適しています。 - PPI〈palliative prognostic index〉
PPIは緩和ケアにおいて予後を予測するための指標で、末期がん患者の評価に用いられます。周術期の活動能力の評価には適していません。 - TNM分類
TNM分類は腫瘍の進行度(原発腫瘍、リンパ節転移、遠隔転移)を示す分類で、活動能力を評価するものではありません。
ワンポイントアドバイス
KPSはがん患者の活動能力や自立度を簡便に評価できる指標で、リハビリテーションの開始時や経過観察に適しています。活動能力やADLの評価には、患者の状態に応じて適切なスケールを選択することが重要です。