第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題42

急性期の肩手症候群への理学療法として正しいのはどれか。

  1. CI 療法
  2. Codman 体操
  3. 肩関節周囲筋の再教育
  4. BFO による良肢位の保持
  5. 肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動

解答解説

正解は3. 肩関節周囲筋の再教育です。

肩手症候群は、脳卒中などの後に生じることがある症候群で、肩関節や手部の痛み、腫脹、機能障害を特徴とします。急性期の治療では、過度の刺激や関節に負担をかける介入を避け、適切な運動やポジショニングを通じて疼痛を管理し、筋肉や関節の機能を維持することが重要です。肩関節周囲筋の再教育は、肩の安定性を高め、痛みを軽減しながら可動域を維持するために適切な方法です。

各選択肢の解説

  1. CI 療法
    CI療法(制約誘導運動療法)は、麻痺側の使用を促進するためのリハビリテーション技法ですが、肩手症候群の急性期では過剰な負荷や痛みを誘発する可能性があり適していません。この選択肢は誤りです。
  2. Codman 体操
    Codman体操(振り子運動)は肩関節の動きを改善するための方法ですが、急性期の肩手症候群では痛みや炎症を悪化させる可能性があります。そのため、この時期には適していません。この選択肢は誤りです。
  3. 肩関節周囲筋の再教育(正解)
    急性期の肩手症候群では、肩関節の安定性を保つために肩関節周囲筋の再教育を行うことが重要です。筋肉の適切な再教育を通じて、痛みの軽減や動作の改善を図ることができます。この選択肢が正解です。
  4. BFO による良肢位の保持
    BFO(Bilateral Functional Orthosis)を用いた良肢位保持は一見有効に思えますが、肩手症候群では、特に肩関節の位置や動きに配慮した介入が重要であり、BFOが具体的な効果を発揮する場面は限定的です。この選択肢は誤りです。
  5. 肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動
    急性期の肩手症候群では、積極的な他動伸張運動は痛みや炎症を悪化させるリスクがあります。無理のない範囲での穏やかな運動が推奨されるため、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

肩手症候群の急性期では、疼痛管理と炎症の軽減を最優先とします。過度な負担を避けながら、適切な運動を通じて肩関節周囲の安定性を確保することが重要です。安易な過伸展や負荷を避け、段階的に進めるリハビリ計画を立てましょう。