脳卒中後のPusher現象について誤っているのはどれか。
- 右半球損傷に多い。
- 垂直判断の障害が関係する。
- 身体軸が非麻痺側に傾斜する。
- 座位だけでなく立位でも認められる。
- 端座位で体幹を正中位に近づけると非麻痺側の股関節が外旋する。
解答解説
正解は3. 身体軸が非麻痺側に傾斜するです。
Pusher現象は、脳卒中後に患者が麻痺側に向かって体を押す現象です。患者は身体を正中位に保つ垂直判断が障害されているため、周囲の支えを必要としない場面でも麻痺側に身体を傾けようとします。その結果、身体軸が麻痺側に傾斜します。このため、選択肢3の「非麻痺側に傾斜する」という記述は誤りです。
各選択肢の解説
- 右半球損傷に多い。
Pusher現象は右半球損傷、特に頭頂葉や後外側視床の損傷で多く見られます。右半球損傷では視空間認知や垂直判断の障害が関与します。この選択肢は正しいです。 - 垂直判断の障害が関係する。
Pusher現象の主な原因は、視覚的垂直(視覚情報を基にした垂直判断)は正常であるにも関わらず、体性感覚に基づく垂直判断(重力に対する体の垂直)が障害されていることです。この選択肢は正しいです。 - 身体軸が非麻痺側に傾斜する。(正解)
Pusher現象では、身体軸が麻痺側に傾斜します。患者自身は体が傾いていることを認識できず、非麻痺側で支えるのを拒否する傾向があります。この選択肢は誤りです。 - 座位だけでなく立位でも認められる。
Pusher現象は座位・立位のどちらでも認められることが特徴です。重度の場合、患者は立位で麻痺側に体を押し付けるように力を入れるため、転倒のリスクが高まります。この選択肢は正しいです。 - 端座位で体幹を正中位に近づけると非麻痺側の股関節が外旋する。
Pusher現象では麻痺側に傾こうとする力を補うため、非麻痺側の股関節が外旋することがあります。これは体を支えるための代償動作としてよく見られます。この選択肢は正しいです。
ワンポイントアドバイス
Pusher現象のリハビリでは、患者に視覚的なフィードバックを提供し、視覚的垂直を利用して身体の正中位を再認識させることが有効です。また、非麻痺側で支える動作を促す訓練や、座位や立位でのバランス練習を段階的に行うことが重要です。