第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題40

関節と生じやすい脱臼の組合せで正しいのはどれか。

  1. 胸鎖関節   後方脱臼
  2. 肩関節    後方脱臼
  3. 肘関節    後方脱臼
  4. 股関節    前方脱臼
  5. 足関節    前方脱臼

解答解説

正解は3です。

肘関節後方脱臼は、肘関節に最も一般的に見られる脱臼で、特に転倒などで手をついた際に生じやすいです。これは、肘関節が伸展された状態で後方に強い力が加わることで発生します。

各選択肢の解説

  1. 胸鎖関節後方脱臼
    胸鎖関節の脱臼は稀であり、多くの場合、前方脱臼が一般的です。後方脱臼は重大な血管や気道への圧迫を伴う可能性があるため、緊急対応が必要です。この選択肢は誤りです。
  2. 肩関節後方脱臼
    肩関節の脱臼は前方脱臼が圧倒的に多く、全脱臼の約95%を占めます。後方脱臼は外傷や電撃傷、痙攣など特殊な状況で生じることがあります。この選択肢は誤りです。
  3. 肘関節後方脱臼(正解)
    正しい選択肢です。肘関節後方脱臼は、肘の脱臼の中で最も一般的で、転倒や外傷による力が肘に加わった際に生じます。関節包や靭帯の損傷を伴うことが多いです。
  4. 股関節前方脱臼
    股関節の脱臼は後方脱臼が一般的で、特に交通事故などで膝が屈曲した状態で強い力が加わる際に発生します。前方脱臼は稀で、この選択肢は誤りです。
  5. 足関節前方脱臼
    足関節の脱臼は稀で、後方脱臼がより一般的です。前方脱臼は足関節が過度に屈曲される特殊な状況で生じます。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

脱臼の特徴を把握するには、関節の構造や力が加わる方向を理解することが重要です:

  • 肩関節:前方脱臼が多い。
  • 肘関節:後方脱臼が最も多い。
  • 股関節:後方脱臼が多いが、脱臼そのものは稀。

関節ごとの脱臼パターンを覚えることで、外傷患者の評価や治療方針の決定に役立ちます。