第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題34

脊髄小脳変性症で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. Frenkel体操は無効である。
  2. 視覚障害を伴うことが多い。
  3. 包括的な評価指標にSARAがある。
  4. 患者数は非遺伝性に比べて遺伝性が多い。
  5. 自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない。

解答解説

正解は3. 包括的な評価指標にSARAがある5. 自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ないです。

脊髄小脳変性症(SCD:Spinocerebellar Degeneration)は、小脳・脊髄・脳幹を中心に進行性の変性を引き起こす疾患群です。運動失調や姿勢保持障害が主な症状であり、評価や治療には専門的な指標とリハビリテーションが必要です。

各選択肢の解説

  1. Frenkel体操は無効である。
    Frenkel体操は運動失調に対するリハビリテーションの一つであり、運動制御を視覚的に補助することで症状改善を図ります。運動失調を持つSCD患者に対して有効であるため、この選択肢は誤りです。
  2. 視覚障害を伴うことが多い。
    SCDの主な症状は運動失調や構音障害、平衡障害であり、視覚障害を主要症状として伴うことはまれです。この選択肢は誤りです。
  3. 包括的な評価指標にSARAがある。(正解)
    SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)は、小脳性運動失調の評価指標であり、運動失調を中心に包括的な評価が可能です。SCD患者の評価に広く用いられています。この選択肢は正解です。
  4. 患者数は非遺伝性に比べて遺伝性が多い。
    SCDは非遺伝性(孤発性)の多系統萎縮症(MSA)が多くを占めており、遺伝性疾患よりも頻度が高いです。この選択肢は誤りです。
  5. 自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない。(正解)
    自律神経障害(排尿障害や起立性低血圧など)は、非遺伝性(MSA)で特に顕著です。一方で、遺伝性SCDでは自律神経障害の頻度は少ない傾向があります。この選択肢は正解です。

ワンポイントアドバイス

SCDのリハビリテーションでは、運動失調を補助するFrenkel体操やバランス訓練が重要です。また、評価指標としてSARAを用いることで運動失調の定量的な評価が可能です。非遺伝性疾患である多系統萎縮症(MSA)では自律神経障害が顕著なため、症状に応じた対応が必要です。