閉塞性動脈硬化症の運動療法を行う場合、収集すべき医学情報として最も重要なのはどれか。
- 胸部CT
- 脊椎MRI
- 筋電図検査
- 足関節上腕血圧比
- 股関節を含む両下肢単純エックス線
解答解説
正解は4. 足関節上腕血圧比です。
閉塞性動脈硬化症(ASO)では、主に下肢の動脈が狭窄または閉塞することで、間欠性跛行や安静時疼痛などの症状が出現します。運動療法を安全かつ効果的に行うためには、足関節上腕血圧比(ABI)を測定して血流障害の程度を把握することが重要です。ABIは、下肢の血流障害を定量的に評価できる基本的な指標です。
各選択肢の解説
- 胸部CT
胸部CTは、胸部大動脈や肺の病変を評価するために用いられる検査であり、閉塞性動脈硬化症の直接的な評価には適していません。この選択肢は不適切です。 - 脊椎MRI
脊椎MRIは、脊椎や神経根の異常(例えば椎間板ヘルニアなど)を評価する検査です。閉塞性動脈硬化症とは無関係であり、運動療法に必要な情報を提供するものではありません。この選択肢は不適切です。 - 筋電図検査
筋電図は筋肉や神経の活動を評価する検査であり、末梢神経障害や筋疾患の診断に有用です。しかし、閉塞性動脈硬化症の血流障害を評価する直接的な検査ではないため、不適切です。 - 足関節上腕血圧比(ABI)(正解)
ABIは、閉塞性動脈硬化症の評価における標準的な検査であり、下肢の血流障害の程度を数値で示します。ABIが0.9未満であれば血流障害が疑われ、運動療法の強度や安全性の指針となります。この選択肢は適切です。 - 股関節を含む両下肢単純エックス線
単純エックス線は骨や関節の異常を確認するために用いますが、閉塞性動脈硬化症における血流障害の評価には適していません。この選択肢は不適切です。
ワンポイントアドバイス
閉塞性動脈硬化症の運動療法では、ABIを用いて血流障害の重症度を把握し、適切な運動負荷を設定することが重要です。また、間欠性跛行を改善する目的でウォーキングを中心としたプログラムを行いますが、症状や血流状態に応じてプログラムを調整する必要があります。