第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題93

感染性心内膜炎が原因で生じやすいのはどれか。

  1. 脳塞栓症
  2. 心囊液貯留
  3. 下肢静脈血栓
  4. 僧帽弁狭窄症
  5. 循環血漿量減少性ショック

解答解説

正解は1. 脳塞栓症です。

感染性心内膜炎では、心内膜や弁に付着した菌塊(疣贅)が血流によって運ばれ、脳塞栓症やその他の臓器塞栓症を引き起こします。これが重大な合併症の一つです。

各選択肢の解説

  1. 脳塞栓症(正解)
    感染性心内膜炎の代表的な合併症です。血流に乗った疣贅が脳血管を閉塞することで発症します。正しい選択肢です。
  2. 心囊液貯留
    心囊液貯留は、心膜炎や心外膜の病変で見られることが多く、感染性心内膜炎では通常みられません。この選択肢は誤りです。
  3. 下肢静脈血栓
    下肢静脈血栓は、静脈うっ滞や血液凝固亢進が原因となる疾患であり、感染性心内膜炎とは直接関連がありません。この選択肢は誤りです。
  4. 僧帽弁狭窄症
    僧帽弁狭窄症は、リウマチ熱などによる弁硬化が主な原因であり、感染性心内膜炎によるものではありません。この選択肢は誤りです。
  5. 循環血漿量減少性ショック
    循環血漿量減少性ショックは、出血や脱水などによる血漿量の減少で起こるもので、感染性心内膜炎の直接的な影響ではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

感染性心内膜炎の重要な特徴と合併症を整理しましょう:

  • リスク因子:心臓弁膜症、先天性心疾患、人工弁、免疫抑制状態。
  • 主な合併症
    • 塞栓症(脳塞栓症、腎梗塞、脾梗塞など)。
    • 心不全(弁機能不全による)。
    • 感染の全身拡散(敗血症、腎不全)。

早期診断と適切な抗菌薬治療が必要です。