運動に関する中枢神経について正しいのはどれか。
- 一次運動野においては他の部位と比較して手と顔面の運動領域が小さい。
- 中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至る。
- 皮質脊髄路のうち約30 %の線維が延髄錐体で対側に交叉する。
- Betzの巨大錐体細胞は運動野大脳皮質の第Ⅲ層に存在する。
- Purkinje細胞の軸索は小脳への求心性線維となる。
解答解説
正解は2. 中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至るです。
中脳の黒質(黒質緻密部)はドパミン作動性ニューロンの主な発生源であり、これらのニューロンの軸索は線条体(線条体は尾状核と被殻から成る)に投射します。この経路は黒質線条体路と呼ばれ、運動の調節や学習に関与しています。
各選択肢の解説
- 一次運動野においては他の部位と比較して手と顔面の運動領域が小さい。
一次運動野の体部位局在(運動ホムンクルス)では、手と顔面の運動領域が他の部位と比較して非常に大きいことが知られています。これは手や顔面の運動が高い精密性を必要とするためです。この選択肢は誤りです。 - 中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至る。(正解)
黒質(特に黒質緻密部)のドパミン作動性ニューロンは線条体に至り、基底核の回路を構成します。この経路は運動の調節に不可欠であり、Parkinson病ではこの経路の機能低下が主要な病態です。この選択肢は正しいです。 - 皮質脊髄路のうち約30 %の線維が延髄錐体で対側に交叉する。
皮質脊髄路(錐体路)の約80~90%の線維が延髄の錐体交叉で対側に交叉します。残りの10~20%は交叉しないまま下行します。この選択肢は誤りです。 - Betzの巨大錐体細胞は運動野大脳皮質の第Ⅲ層に存在する。
Betz細胞は一次運動野に存在する大型の錐体細胞で、皮質脊髄路の重要な構成要素です。しかし、これらは大脳皮質の第Ⅴ層に存在します。この選択肢は誤りです。 - Purkinje細胞の軸索は小脳への求心性線維となる。
Purkinje細胞は小脳皮質に存在するニューロンで、その軸索は小脳核(歯状核など)へ投射します。つまり、これは遠心性線維であり、小脳への求心性線維ではありません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
運動に関わる中枢神経の知識では、基底核、皮質脊髄路、小脳の機能を整理することが重要です。特に、黒質線条体路や錐体交叉の割合、小脳の構造的特徴(Purkinje細胞の役割など)について理解を深めましょう。