75歳の男性。2年前にParkinson病を発症。Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ。2か月前からトイレ前で小刻み歩行を生じるほか、歩行や立ち座りが不安定となり、屋内移動で妻の介助が必要となった。現在、妻とマンションで2人暮らしである。自宅の住環境整備で適切でないのはどれか。
- ベッドに介助バーを設置する。
- 居室の出入り口を開き戸にする。
- 脱衣場と浴室の段差を解消する。
- 寝室からトイレの廊下に手すりを設置する。
- トイレ前の廊下にはしご状の目印をつける。
解答解説
正解は2. 居室の出入り口を開き戸にするです。
Parkinson病患者における住環境整備では、日常動作を安全に行える環境を整えることが重要です。特に、歩行時のバランス保持や小刻み歩行(フリーズ現象)対策が求められます。しかし、開き戸は開閉時に体のバランスを崩すリスクがあるため、引き戸やスライド式の扉が適切です。このため、選択肢2は不適切です。
各選択肢の解説
- ベッドに介助バーを設置する。
ベッドに介助バーを設置することで、寝返りや立ち座りの際に安定した支えを提供できます。これはParkinson病患者に有効な住環境整備の一つです。 - 居室の出入り口を開き戸にする。(正解)
開き戸は扉を押したり引いたりする際に体のバランスを崩しやすく、Parkinson病患者には不適切です。引き戸やスライド式の扉を採用することで、安全に出入りが可能になります。この選択肢は不適切です。 - 脱衣場と浴室の段差を解消する。
浴室での転倒リスクを低減するために、段差を解消することは重要です。特にParkinson病患者は体の動きがぎこちなくなるため、つまずきを防ぐ環境整備が必要です。適切な選択肢です。 - 寝室からトイレの廊下に手すりを設置する。
手すりは歩行時の安定性を確保するために有効です。トイレまでの動線に手すりを設置することで、転倒リスクを減らし安全な移動が可能になります。適切な選択肢です。 - トイレ前の廊下にはしご状の目印をつける。
トイレ前での小刻み歩行(フリーズ現象)を緩和するために、目印を設置することは有効です。はしご状の目印は、視覚的な手がかりを提供し、歩行の再開を促進します。適切な選択肢です。
ワンポイントアドバイス
Parkinson病患者の住環境整備では、転倒予防と動作の安全性向上を目的とした工夫が重要です。特に、扉は引き戸やスライド式を選び、歩行補助として手すりや目印を活用することが推奨されます。また、段差解消や動線の確保も転倒リスクを減らすために必要です。