第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題60

細胞小器官のうちATPを合成するのはどれか。

  1. 小胞体
  2. 中心小体
  3. ゴルジ装置
  4. リソゾーム
  5. ミトコンドリア

解答解説

正解は5です。

ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場として機能し、ATP(アデノシン三リン酸)を合成します。ミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系とATP合成酵素によって、酸素とグルコースから効率的にATPが生成されます。これは、細胞内でエネルギーを供給する重要なプロセスです。

各選択肢の解説

  1. 小胞体
    小胞体は、タンパク質や脂質の合成、カルシウムの貯蔵に関与しますが、ATPを合成する機能はありません。この選択肢は誤りです。
  2. 中心小体
    中心小体は細胞分裂時に紡錘体を形成し、染色体の分離を助けますが、ATP合成には関与しません。この選択肢は誤りです。
  3. ゴルジ装置
    ゴルジ装置は、タンパク質や脂質の修飾、加工、分泌に関与しますが、ATPを合成する機能はありません。この選択肢は誤りです。
  4. リソゾーム
    リソゾームは細胞内消化を行う小器官であり、加水分解酵素を用いて不要な物質を分解しますが、ATP合成には関与しません。この選択肢は誤りです。
  5. ミトコンドリア(正解)
    しい選択肢です。ミトコンドリアは、酸化的リン酸化を通じてATPを生成します。このプロセスは細胞のエネルギー代謝の中心であり、生命維持に不可欠です。

ワンポイントアドバイス

ミトコンドリアのATP合成は、電子伝達系(酸化的リン酸化)が中心です。この過程では、グルコースが分解されて生じるNADHやFADH2が電子を供給し、プロトン濃度勾配を利用してATP合成酵素がATPを生成します。この仕組みをしっかり理解しておくことで、代謝や細胞生理学の基礎がより深まります。