76 歳の男性。左足関節の痛みに対して手術療法が行われた。術後エックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。
術後の理学療法で正しいのはどれか。
1. 術直後から荷重を開始する。
2. 仏痛軽減のため電磁波療法を行う。
3. 膝関節可動域練習を積極的に行う。
4. 外固定が外れたら足指可動域練習を開始する。
5. 内固定破損の可能性があるため骨癒合が得られるまで短下肢装具を使用する。
解答解説
正解は 3.膝関節可動域練習を積極的に行う です。
このX線写真では、左足関節に内固定が施されており、**足関節の固定術(足関節の関節固定術)**が行われたと考えられます。この手術では、関節を完全に固定して痛みを抑え、安定性を確保することが目的です。術後は足関節の可動性が失われるため、代償的に膝関節や股関節の可動性を維持し、日常生活動作の向上を図ることが重要です。
膝関節は荷重や歩行の際に重要な役割を果たすため、術後の早期から膝関節の可動域練習を積極的に行うことで、足関節の固定を補い、機能的な歩行が可能になるようサポートします。
選択肢の解説
- 術直後から荷重を開始する: 足関節の固定術後は、通常骨癒合が得られるまで荷重を避けることが求められます。術直後からの荷重は内固定に負荷をかけ、固定が破損するリスクがあるため、適切ではありません。
- 痛み軽減のため電磁波療法を行う: 電磁波療法は、痛みの軽減や骨癒合促進のために使用される場合もありますが、足関節の固定術後に特に優先される治療法ではありません。また、電磁波療法は骨癒合が遅延した場合などに適用されることが多く、術後直後の段階では適していません。
- 膝関節可動域練習を積極的に行う: 正解です。足関節が固定されると、代償的に膝関節や股関節の動きが重要になります。膝関節の可動域練習を行うことで、歩行や移動時の機能を維持し、日常生活動作を支援します。
- 外固定が外れたら足指可動域練習を開始する: 足指の可動域練習は、外固定が外れる前から始めることが可能です。足指の可動域を保持することは、足の機能を維持するために重要であり、外固定の有無にかかわらず、早期から行うべきです。
- 内固定破損の可能性があるため骨癒合が得られるまで短下肢装具を使用する: 骨癒合が得られるまでの安静は必要ですが、内固定が行われているため、通常は装具の使用は必須ではありません。術後の経過に応じて医師の指示に従い、必要に応じて装具を使用することはありますが、全例で使用するわけではありません。
ワンポイントアドバイス
足関節の固定術後は、足関節自体の可動性が失われるため、膝関節や股関節の可動域を維持することが重要です。また、足指の可動性も保つことで、歩行や立位時のバランス維持に役立ちます。術後のリハビリ計画では、手術部位を安静に保ちつつ、他の関節の機能をサポートする練習がポイントとなります。