第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題63

呼吸の生理で正しいのはどれか。

  1. 呼気時に横隔神経の活動電位が生じる。
  2. 迷走神経が亢進すると気道抵抗は低下する。
  3. 肺コンプライアンスが増加すると機能的残気量は減少する。
  4. pHが上昇すると酸素はヘモグロビンから解離しやすくなる。
  5. 呼吸商は単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。

解答解説

正解は「5」です。

呼吸商(RQ, Respiratory Quotient)は、単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比で定義されます。通常の値は0.8程度ですが、栄養状態や代謝状況によって変動します。他の選択肢は誤りです。

選択肢ごとの解説

  1. 呼気時に横隔神経の活動電位が生じる。
    誤りです。横隔神経の活動は主に吸気時に活発になり、横隔膜を収縮させます。呼気は通常、安静時には受動的に行われ、横隔神経の活動は低下します。
  2. 迷走神経が亢進すると気道抵抗は低下する。
    誤りです。迷走神経の亢進は副交感神経を介して気管支平滑筋を収縮させ、気道抵抗を増加させます。
  3. 肺コンプライアンスが増加すると機能的残気量は減少する。
    誤りです。肺コンプライアンス(肺の伸展性)が増加すると、肺がより膨張しやすくなるため、機能的残気量(FRC)はむしろ増加します。
  4. pHが上昇すると酸素はヘモグロビンから解離しやすくなる。
    誤りです。pHが上昇するとアルカリ性に傾き、ヘモグロビンの酸素親和性が高まるため、酸素は解離しにくくなります(ボーア効果の逆)。
  5. 呼吸商は単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。
    正解です。 呼吸商は、エネルギー代謝の状態を評価する指標であり、二酸化炭素産生量(VCO2)を酸素消費量(VO2)で割った値です。

ワンポイントアドバイス

呼吸の生理では、ガス交換のメカニズム(呼吸商や酸素解離曲線)や神経制御(横隔神経、迷走神経)についての正確な理解が求められます。特に呼吸商は栄養代謝とも関連が深く、試験対策として覚えておくことが重要です。