下肢の異常と金属支柱付き短下肢装具の足継手設定との組合せで正しいのはどれか。
1.尖足 前方制動
2.反張膝 前方制動
3.立脚期の膝折れ 前方制動
4.下腿三頭筋の痙縮 遊動
5.前脛骨筋の弛緩性麻痺 遊動
正解は 3.立脚期の膝折れ 前方制動 です。
解答解説
正解は 3.立脚期の膝折れ 前方制動 です。
- 立脚期の膝折れとは、歩行時の立脚期に膝が過度に屈曲してしまい、不安定になる状態です。この場合、足関節の過度な背屈が膝の屈曲を助長するため、足関節の前方制動を設定して背屈を制限することで、膝の安定性を確保しやすくなります。前方制動により、膝が折れ曲がるのを防ぎ、立脚期での歩行が安定します。
選択肢の解説
- 尖足 前方制動
尖足は足が過度に底屈している状態で、歩行時に踵からの接地が難しくなります。この場合、底屈を制限するために前方制動を使用することが有効ですが、この問題の正解は「立脚期の膝折れ」に対する設定が問われており、1番は適切な組み合わせとは言えません。 - 反張膝 前方制動
誤りです。反張膝(膝が過伸展する状態)に対しては、膝の安定を保つために足関節の底屈を制限する後方制動が適しています。後方制動を使用することで膝が過伸展しにくくなり、膝関節の安定性が保たれます。前方制動は反張膝の予防には適していません。 - 立脚期の膝折れ 前方制動
正解です。立脚期の膝折れは、歩行時に膝が屈曲しやすくなる状態です。足関節の背屈を制限する前方制動を設定することで、膝が過度に屈曲するのを防ぎ、立脚期での膝の安定性を確保できます。この設定は、膝折れの改善に役立ちます。 - 下腿三頭筋の痙縮 遊動
誤りです。下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の痙縮がある場合、足関節が過度に底屈しやすくなるため、安定性を保つために前方制動が必要です。遊動に設定すると足関節の自由な動きを許してしまい、痙縮により足が底屈しやすくなるため、不適切です。 - 前脛骨筋の弛緩性麻痺 遊動
誤りです。前脛骨筋の弛緩性麻痺があると足が下垂しやすく、歩行時に足が引っかかりやすくなります。これを防ぐためには、足関節の底屈を制限する前方制動が必要です。遊動では足が自由に動いてしまい、つま先が引っかかるリスクが高まるため、適切な設定とは言えません。
ワンポイントアドバイス
金属支柱付き短下肢装具の足継手設定は、症状に応じて「前方制動」「後方制動」「遊動」を適切に選択することが重要です。前方制動は膝折れや尖足の底屈制限に使用し、後方制動は膝の過伸展防止に使用されます。装具の設定を正しく理解し、各異常に応じた適切な設定ができるようにしておきましょう。