12歳の男児。脳性麻痺痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢで、立位では図のような姿勢を示す。治療方針として優先されるのはどれか。
- 長下肢装具を作製する。
- 体幹筋の同時収縮を促す。
- 選択的後根切断術を検討する。
- 歩行練習での介助量を減らす。
- 上肢での支持能力を向上させる。
解答解説
正解は2. 体幹筋の同時収縮を促すです。
この男児は脳性麻痺痙直型両麻痺であり、立位での体幹の不安定性や姿勢保持能力の低下がみられます。GMFCSレベルⅢでは、自立した移動が困難で、補助具を用いることが必要な状態が多いです。この姿勢は体幹の不安定性を示唆しており、体幹筋の同時収縮を促し、体幹の安定性を高めることが重要な治療方針となります。これにより、姿勢保持や下肢の協調的な動作が改善し、機能的な動作が可能になります。
各選択肢の解説
- 長下肢装具を作製する。
長下肢装具は膝や足関節のアライメントをサポートする目的で使用されますが、体幹の安定性を改善する目的としては適していません。まずは体幹の安定性を高めることが優先されるため、この選択は不適切です。 - 体幹筋の同時収縮を促す。(正解)
体幹筋の同時収縮は、姿勢制御を改善し、体幹の安定性を高めることができます。立位での体幹の安定性が向上することで、下肢の動作もスムーズになり、歩行などの機能的活動が改善します。このため、最優先すべき治療方針です。 - 選択的後根切断術を検討する。
選択的後根切断術(SDR)は重度の痙性を軽減するために行われますが、適応は慎重に判断されるべきです。この症例ではまず理学療法での体幹安定性の改善を試みるべきであり、いきなり手術を検討するのは早すぎます。 - 歩行練習での介助量を減らす。
GMFCSレベルⅢの男児では、歩行練習時の体幹や下肢のサポートが重要です。介助量を減らすことよりも、まず体幹の安定性を向上させることが優先されます。この選択肢は適切ではありません。 - 上肢での支持能力を向上させる。
上肢での支持能力は補助具を使用する際に有効ですが、根本的な姿勢保持や歩行能力の改善にはつながりにくいです。体幹の安定性を高める方が優先度が高いです。
ワンポイントアドバイス
脳性麻痺の治療では、体幹の安定性が歩行能力や全身の機能改善の基盤となります。痙直型の場合、痙性や筋緊張の過剰な偏りを抑え、選択的な筋収縮を促すトレーニングが有効です。特に、体幹筋の同時収縮を促進するアプローチは、姿勢の改善に直結します。