74歳の女性。左片麻痺。Brunnstrom法ステージ上肢Ⅱ、下肢Ⅲ。患側の筋緊張は低く、随意的な筋収縮もわずかにみられる程度である。平行棒内立位は中等度介助が必要で、左下肢は膝伸展位を保持することが困難で、体重をかけると膝折れが生じる。診療録の問題指向型医療記録の記載でassessment(評価)はどれか。
- 左下肢の筋力が低下している。
- 左下肢の筋力増強練習を行う。
- 左下肢の筋緊張が低下している。
- 左下肢に長下肢装具を使用し立位練習を行う。
- 左下肢の筋緊張低下により体重支持力が低下している。
解答解説
正解は5. 左下肢の筋緊張低下により体重支持力が低下しているです。
本症例では、Brunnstrom法ステージ下肢Ⅲの状態から、筋緊張が低下し随意収縮が不十分であることが読み取れます。また、立位で膝伸展位の保持が困難で、体重をかけると膝折れが生じるという所見は、筋緊張低下に伴う体重支持能力の低下を示唆しています。これに基づき、診療録のassessment記載として最も適切なのは選択肢5です。
各選択肢の解説
- 左下肢の筋力が低下している。
筋力低下は症例の一因である可能性はありますが、問題文では筋緊張の低下が強調されており、筋力低下だけでは説明が不十分です。また、筋力低下という表現はassessmentでは病態の主因として曖昧になりがちです。 - 左下肢の筋力増強練習を行う。
筋力増強練習は治療計画にあたるもので、assessmentの記載内容としては適切ではありません。評価の段階では患者の状態を正確に分析する必要があります。 - 左下肢の筋緊張が低下している。
筋緊張低下は症例の一部を説明していますが、膝折れや体重支持力の低下など、具体的な立位保持困難の要因を含めた評価にはなっていません。より詳細な評価が必要です。 - 左下肢に長下肢装具を使用し立位練習を行う。
これも治療計画の内容に該当し、assessmentには適していません。患者の状態を評価する記載としては不十分です。 - 左下肢の筋緊張低下により体重支持力が低下している。(正解)
筋緊張低下が体重支持力の低下を引き起こしているという記載は、患者の状態を正確に反映しています。また、具体的な所見(膝折れや立位保持の困難)とも整合性が取れており、診療録のassessment記載として最も適切です。
ワンポイントアドバイス
Brunnstrom法ステージでは、下肢Ⅲは共同運動パターンの出現が認められますが、随意的な制御は未熟です。この段階では筋緊張が不安定なことが多く、支持性の低下が生じやすいです。評価では筋緊張や体重支持能力を注意深く観察し、患者の問題点を正確に分析することが重要です。