第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題10

右側の靴型装具の補正と効果の組合せで正しいのはどれか。

  1. ① 前足部の回内防止
  2. ② 踏み返しの改善
  3. ③ 足部横アーチの支持性増強
  4. ④ 中足骨骨頭の免荷
  5. ⑤ 接踵時の衝撃吸収

解答解説

正解は4. ④ 中足骨骨頭の免荷です。

選択肢④の装具は、靴底に中足骨骨頭部を避ける形で隆起した部分が施されています。これにより、中足骨骨頭の圧迫を軽減し、特に中足骨痛や足底部の圧痛を緩和する効果があります。この補正は、足底圧分布を調整し、中足骨骨頭部の免荷を目的として設計されています。

各選択肢の解説

  1. ① 前足部の回内防止
    図①の装具はヒールカウンター(踵部の補強材)が強調されていますが、前足部の回内防止には直接関与しません。このため、効果の組み合わせとしては適切ではありません。
  2. ② 踏み返しの改善
    図②の装具は靴底前足部のローリングバーによる補正です。踏み返しの動きを補助する形状ではありますが、この図に示されているものは踏み返しではなく中足部の補正効果に関連するデザインです。この選択肢は不正解です。
  3. ③ 足部横アーチの支持性増強
    図③の装具は、靴底中央部の補正が施されていますが、横アーチの支持を直接補強する形状ではありません。足底部全体の安定化や支持性の増強を目的としたデザインであり、この選択肢も不適切です。
  4. ④ 中足骨骨頭の免荷(正解)
    図④の装具は、中足骨骨頭部の下に隆起を配置することで、この部分への荷重を軽減する補正が施されています。このデザインは、足底痛や中足骨骨頭部の圧迫軽減を目的とするもので、選択肢と装具の組み合わせが正しいです。
  5. ⑤ 接踵時の衝撃吸収
    図⑤の装具は、かかと部分に柔らかい素材を用いることで衝撃吸収を目的としています。接踵時の衝撃吸収を改善する効果があるため、別の選択肢が正解として当てはまりますが、この図との関連性はありません。

ワンポイントアドバイス

靴型装具のデザインは、部位ごとに異なる補正機能を持っています。中足骨骨頭の免荷には足底部の圧力を分散させる補正が有効であり、特に中足骨頭部の圧迫による痛みのある患者に適しています。装具の効果を正しく理解し、患者の症状に応じた補正を選択することが重要です。