28歳の男性。脊髄完全損傷。両側に長下肢装具を使用し、平行棒内歩行練習を行っている。歩行パターンを図に示す。機能残存レベルはどれか。
- Th1
- Th6
- Th12
- L4
- S1
解答解説
正解は3. Th12です。
図の歩行パターンは、両側の長下肢装具を使用して平行棒を用いる歩行を示しています。この方法では、下肢筋力のサポートが必要であり、体幹の制御力も求められます。Th12レベルの機能残存では、下肢筋力は損傷により麻痺していますが、体幹筋の機能が一部残存しているため、体幹の支持を保ちながら長下肢装具を使用しての歩行が可能です。この状態では、主に装具と平行棒のサポートを活用して歩行訓練が行われます。
各選択肢の解説
- Th1
Th1レベルの損傷では、体幹の機能がほとんど失われており、体幹の安定性を保つことが困難です。このため、装具を使用した立位保持や歩行は難しく、この図に示される歩行パターンは不可能です。 - Th6
Th6レベルでは、体幹の上部筋群が機能しますが、下部体幹筋は麻痺しているため、十分な体幹の安定性を保つことが難しいです。このため、長下肢装具を用いた歩行は理論上可能でも、実際には非常に困難です。 - Th12(正解)
Th12レベルでは、体幹下部の筋群が一部機能しており、長下肢装具を使用した平行棒内歩行が可能です。膝や股関節を動かす筋力は期待できないため、装具による完全なサポートが必要ですが、図のような歩行パターンはこのレベルに該当します。 - L4
L4レベルでは、膝伸展(大腿四頭筋)や股関節屈曲(腸腰筋)の筋力が残存しているため、長下肢装具を必要としない歩行が可能となる場合もあります。このレベルで長下肢装具を用いた歩行パターンを示すのは適切ではありません。 - S1
S1レベルでは足関節の底屈(下腿三頭筋)が機能し、通常は装具なしでの歩行が可能です。このレベルでの機能残存では、図のような装具を用いた歩行は必要ありません。
ワンポイントアドバイス
脊髄損傷における機能残存レベルの判断では、体幹筋の働きが歩行可能性を左右する重要な要素です。Th12では体幹の下部筋が機能するため、長下肢装具を用いた歩行訓練が可能になりますが、補助具の使用が必須です。