52歳の女性。踏み台から転落して左踵骨骨折を受傷し、手術が行われた。術後翌日の単純エックス線写真(別冊No.3)を別に示す。この患者に対する運動療法で正しいのはどれか。
- 術後翌日から距腿関節の可動域練習を行う。
- 術後翌日から膝関節の可動域練習を行う。
- 術後翌日から部分荷重を始める。
- 術後3週から外固定内での距踵関節の等尺性運動を行う。
- 術後4週からMP関節の可動域練習を行う。
解答解説
正解は2. 術後翌日から膝関節の可動域練習を行うです。
踵骨骨折術後では、固定による関節拘縮や筋力低下を防ぐための適切なリハビリが必要です。膝関節の可動域練習は、術後の安静を強制することで発生しがちな膝関節拘縮の予防や下肢全体の血流促進に有効であり、術後翌日から実施が推奨されます。一方で、患部(距腿関節や距踵関節)への負荷を避けるため、これらの関節への直接的な運動や荷重は一定期間制限されます。
各選択肢の解説
- 術後翌日から距腿関節の可動域練習を行う。
踵骨骨折の術後、距腿関節(足関節)への過度な運動負荷は避けるべきです。特に術後直後は骨癒合を妨げるリスクがあるため、距腿関節の可動域練習は適切ではありません。 - 術後翌日から膝関節の可動域練習を行う。(正解)
膝関節は患部から離れており、可動域練習を行っても踵骨への負荷を与えません。術後翌日から練習を始めることで、膝の拘縮予防や血栓症のリスク軽減に繋がります。これは標準的なリハビリ内容です。 - 術後翌日から部分荷重を始める。
踵骨骨折術後は、骨癒合のため一定期間の荷重制限が必要です。部分荷重を開始するのは一般的に術後6~8週以降であり、術後翌日から荷重を行うのは不適切です。 - 術後3週から外固定内での距踵関節の等尺性運動を行う。
距踵関節の等尺性運動は固定が安定し、骨癒合が進む術後6~8週以降に慎重に始めます。術後3週では早すぎるため、この時期に行うことは不適切です。 - 術後4週からMP関節の可動域練習を行う。
MP関節(足趾の中足趾節関節)の可動域練習は、術後早期から開始するべきです。術後4週からでは遅く、関節拘縮を招く可能性があります。
ワンポイントアドバイス
踵骨骨折術後のリハビリでは、患部の安静期間を守りつつ、非患部(膝関節や股関節)の運動を早期から開始することが重要です。また、荷重や患部への直接的な運動は、医師の指示に基づいて開始時期を慎重に判断する必要があります。