第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題3

心電図(別冊No.1)を別に示す。心房粗動はどれか。

解答解説

正解は1. ①です。

心房粗動(Atrial Flutter)は、心房が規則的に約250~350回/分の速さで収縮する不整脈です。心電図上の特徴として、P波の代わりに鋸歯状の波形(F波)が連続的に現れる点が挙げられます。この波形は特に下壁誘導(II、III、aVF)で顕著に観察されます。画像①ではこの鋸歯状の波形が明確に見られ、心房粗動の典型的所見を示しています。

各選択肢の解説

  1. (正解)
    この心電図ではF波(鋸歯状波形)が明瞭であり、典型的な心房粗動の所見です。また、F波と心室の反応が一定の比率(例:2:1、3:1)で見られる場合もあります。

  2. この心電図ではP波が明瞭に存在し、F波が確認されません。また、R-R間隔が規則的であり、正常洞調律(NSR)の所見と考えられます。心房粗動ではありません。

  3. この心電図は心房細動(Atrial Fibrillation:AF)の所見を示唆しています。基線が不規則でP波が消失しており、R-R間隔も不規則です。AFでは鋸歯状の波形は見られないため、心房粗動とは異なります。

  4. この心電図では早期興奮症候群や室性不整脈などを示唆する波形が考えられますが、鋸歯状波形が見られないため、心房粗動ではありません。

  5. この心電図は完全房室ブロックなどが疑われます。P波とQRS波が独立して出現している点が特徴的であり、心房粗動の波形(F波)は認められません。

ワンポイントアドバイス

心房粗動(Atrial Flutter)の心電図所見として最も重要なのは鋸歯状のF波の存在です。頻脈を伴う場合や心室反応が一定でない場合もあるため、下壁誘導(II、III、aVF)を重点的に観察することが診断のポイントです。