第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題14

2歳の男児。二分脊椎。歩行時の様子を図に示す。


予測される Sharrard の分類の上限はどれか。

1. Ⅰ群
2. Ⅱ群
3. Ⅲ群
4. Ⅳ群
5. Ⅴ群

解答解説

正解は 2.Ⅱ群 です。

Sharrardの分類におけるⅡ群は、腰髄高位(L1〜L2レベル)に相当し、主に腸腰筋が機能するレベルです。このレベルでは、大腿四頭筋の筋力が弱く、膝関節を自力で十分に伸展できません。そのため、長下肢装具や歩行器を用いることで、歩行を補助する必要があります。今回の図では、長下肢装具と前方歩行器を使って歩行している姿が描かれているため、Ⅱ群の特徴と一致します。

選択肢の解説

  1. Ⅰ群: Sharrard分類Ⅰ群は胸髄レベル(T12以上)の障害で、股関節以下の運動機能がほとんど残存しないため、通常、歩行は困難です。歩行器や装具を用いても自立歩行ができないケースが多く、この図には適しません。
  2. Ⅱ群: Ⅱ群はL1〜L2レベルで、主に腸腰筋の働きがあり、股関節屈曲が可能です。ただし、大腿四頭筋の筋力は弱く、膝関節の安定性が低いため、長下肢装具や歩行器が必要です。図の男児は長下肢装具と歩行器を使って歩行しているため、このⅡ群に該当します。
  3. Ⅲ群: Ⅲ群はL3〜L4レベルで、大腿四頭筋が機能し、膝関節の伸展が可能です。長下肢装具を使えば、歩行器なしでもある程度自立して歩行ができる場合が多いです。図のように歩行器を使用していることから、Ⅲ群ではなくⅡ群である可能性が高いです。
  4. Ⅳ群: Ⅳ群はL5〜S1レベルで、足関節や足趾の筋が機能するため、足関節背屈や膝屈曲が可能です。通常、このレベルでは歩行器を使用せず、短下肢装具や支えなしでの歩行が可能となるため、今回の図とは一致しません。
  5. Ⅴ群: Ⅴ群はS2以下の障害で、ほぼ正常な下肢機能が残存し、独立した歩行が可能です。歩行器や長下肢装具を必要としないため、今回のケースには当てはまりません。

ワンポイントアドバイス

Sharrardの分類を理解する際には、障害レベルごとに可能な運動機能と必要な装具の特徴を把握することが重要です。特にⅡ群では、膝の安定性が低いため、図のように長下肢装具と歩行器を使っているケースが多く見られます。この分類を正確に理解することで、患者の機能レベルに合ったリハビリや装具の選定が可能となります。