心電図(別冊No. 4)を別に示す。考えられるのはどれか。
- 心房細動
- 心房粗動
- 房室ブロック
- 心室細動
- 心室期外収縮
解答解説
正解は 5. 心室期外収縮 です。
心電図所見の解説
この心電図では、通常のQRS波の間に異常なQRS波が突然出現しています。心室期外収縮(VPC: Ventricular Premature Contraction)は、心室から異常な早い刺激が発生することで生じる不整脈です。以下の特徴から心室期外収縮と診断します。
- 異常なQRS波:正常なQRS波に比べて幅が広く、形状が異なる。
- QRS波のタイミング:異常なQRS波が通常のリズムの中に「早期」に出現している。
- P波との関係:心室期外収縮では、異常なQRS波に対応するP波が存在しないか、P波のタイミングがずれる。
この心電図では、規則正しい正常な心拍の間に幅広い異常なQRS波が挿入されており、心室期外収縮の特徴に合致します。
各選択肢の解説
- 心房細動
心房細動では基線が細かく揺れてP波が認められず、R-R間隔が不規則になります。この心電図では規則的な正常心拍が確認されており、心房細動ではありません。 - 心房粗動
心房粗動では鋸歯状波形(F波)が基線上に認められるのが特徴ですが、この心電図では鋸歯状波形は見られません。この選択肢は誤りです。 - 房室ブロック
房室ブロックではP波とQRS波のタイミングが異常になったり、QRS波が欠如することがあります。この心電図では正常なP波とQRS波がほとんど規則正しく見られ、房室ブロックの特徴はありません。 - 心室細動
心室細動では、QRS波もP波も認められず、不規則で無秩序な波形となります。この心電図には規則的な心拍が確認されるため、心室細動ではありません。 - 心室期外収縮(正解)
心室期外収縮では、正常なQRS波の間に異常で幅広いQRS波が早期に出現します。この心電図は心室期外収縮の特徴に合致します。
ワンポイントアドバイス
心室期外収縮は健康な人にも見られることがあり、通常は心配いりませんが、頻発する場合や症状がある場合は注意が必要です。心電図で異常なQRS波の幅や形、出現タイミングを確認することが重要です。また、治療の必要性は基礎疾患や症状の有無によって異なります。