Wallenberg症候群に関連する摂食嚥下障害はどれか。
- 半側空間無視による先行期障害
- 観念失行による準備期障害
- 顔面麻痺による口腔期障害
- 食道入口部開大不全による咽頭期障害
- 胃食道逆流による食道期障害
解答解説
正解は4(食道入口部開大不全による咽頭期障害)です。
Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、延髄の外側部を支配する血管(椎骨動脈や後下小脳動脈)の障害によって生じます。この領域は嚥下反射を調節する神経核(疑核や孤束核)や神経経路を含むため、嚥下障害が生じます。咽頭期では食道入口部(輪状咽頭筋)が開きにくくなり、食道への食塊移送が困難となることが特徴的です。
各選択肢の解説
- 半側空間無視による先行期障害
誤りです。半側空間無視は主に頭頂葉の損傷に関連し、Wallenberg症候群とは直接関係がありません。先行期障害も本症候群の特徴ではありません。 - 観念失行による準備期障害
誤りです。観念失行は主に左半球の損傷に関連し、食物の操作や準備動作が障害されることがありますが、Wallenberg症候群とは関係がありません。 - 顔面麻痺による口腔期障害
誤りです。顔面麻痺(第VII脳神経障害)はWallenberg症候群の主要な症状ではありません。口腔期障害は他の脳神経障害や顔面神経麻痺に関連します。 - 食道入口部開大不全による咽頭期障害
正しい選択肢です。延髄の疑核や孤束核が損傷されると、輪状咽頭筋や咽頭筋の協調が損なわれ、食道入口部の開大不全が生じます。これにより、咽頭期における嚥下障害がみられます。 - 胃食道逆流による食道期障害
誤りです。胃食道逆流症は下部食道括約筋の機能低下に起因するものであり、Wallenberg症候群の摂食嚥下障害には該当しません。
ワンポイントアドバイス
Wallenberg症候群の摂食嚥下障害は、主に延髄に存在する嚥下中枢の機能低下に起因します。咽頭期障害として食道入口部の開大不全が特徴的であり、嚥下時の誤嚥や窒息のリスクが増大します。この特徴を踏まえてリハビリやケアの計画を立てることが重要です。