第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題36

失語症の型と症状の組合せで正しいのはどれか。

  1. Wernicke失語 ─ 聴覚理解が保たれる。
  2. 超皮質性失語 ─ 復唱が障害される。
  3. Broca失語 ─ 自発言語が障害される。
  4. 伝導失語 ─ 復唱が保たれる。
  5. 健忘失語 ─ 聴覚理解が障害される。

解答解説

正解は3(Broca失語 ─ 自発言語が障害される)です。
Broca失語では、発語に関与する運動領域が障害されるため、流暢な自発言語が困難になります。一方で、聴覚理解は比較的保たれることが特徴です。

各選択肢の解説

  1. Wernicke失語 ─ 聴覚理解が保たれる。
     誤りです。Wernicke失語では聴覚理解が著しく障害されます。言語の流暢性は保たれますが、内容が支離滅裂になることがあります。
  2. 超皮質性失語 ─ 復唱が障害される。
     誤りです。超皮質性失語では復唱が保たれるのが特徴です。自発言語や理解が障害される場合でも、復唱能力は保持されることがあります。
  3. Broca失語 ─ 自発言語が障害される。
     正しい選択肢です。Broca失語では、言葉を流暢に話すことが難しくなりますが、聴覚理解は比較的保たれています。
  4. 伝導失語 ─ 復唱が保たれる。
     誤りです。伝導失語では復唱能力が著しく障害されます。言語の流暢性と聴覚理解は保たれることが多いです。
  5. 健忘失語 ─ 聴覚理解が障害される。
     誤りです。健忘失語では言葉を思い出すこと(語想起)が困難になるのが主な症状ですが、聴覚理解は保たれています。

ワンポイントアドバイス

失語症の型を理解する際には、「流暢性」「聴覚理解」「復唱」の3つの要素を軸に症状を整理すると覚えやすくなります。Broca失語では非流暢、Wernicke失語では聴覚理解の障害、伝導失語では復唱の障害が特徴的です。それぞれの特徴を臨床例と結びつけて覚えましょう。