第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題35

ASIAの評価法について正しいのはどれか。

  1. 評価は座位で行う。
  2. 包括的な神経学的評価法である。
  3. 神経学的損傷高位を決定するにあたり深部腱反射を用いる。
  4. 感覚はNT(not testable)の場合を除くと3段階で評価する。
  5. 関節可動域に制限がある場合の運動はすべてNT(not testable)と記載する。

解答解説

正解は4(感覚はNT(not testable)の場合を除くと3段階で評価する)です。
ASIA(American Spinal Injury Association)の評価法は、脊髄損傷の神経学的状態を評価するための国際的な基準です。感覚評価は「0(消失)」「1(鈍麻)」「2(正常)」の3段階で行います。NT(not testable)は感覚テストが不可能な場合に記録されます。

各選択肢の解説

  1. 評価は座位で行う。
     誤りです。ASIAの評価は通常仰臥位で行います。これにより、全身の神経学的状態を安定して評価できます。
  2. 包括的な神経学的評価法である。
     誤りです。ASIAの評価法は脊髄損傷に特化しており、一般的な神経学的評価全般を目的としているわけではありません。
  3. 神経学的損傷高位を決定するにあたり深部腱反射を用いる。
     誤りです。神経学的損傷高位は感覚テスト(表在覚と深部覚)および筋力テストを基に決定します。深部腱反射は使用しません。
  4. 感覚はNT(not testable)の場合を除くと3段階で評価する。
     正しい選択肢です。感覚評価は「0(消失)」「1(鈍麻または異常)」「2(正常)」の3段階で行います。
  5. 関節可動域に制限がある場合の運動はすべてNT(not testable)と記載する。
     誤りです。可動域制限があっても、可能な範囲で筋力評価を行い、その結果を記録します。完全にテスト不能な場合のみNTと記載します。

ワンポイントアドバイス

ASIAの評価法は、脊髄損傷の神経学的レベルを客観的に判定するための基準です。感覚評価の3段階分類や運動評価の6段階(0〜5)、神経学的損傷高位の決定方法などを正確に理解しておくことが重要です。実際の評価手順を確認しながら覚えると効果的です。