第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題34

病巣と症状の組合せで正しいのはどれか。

  1. 延髄背外側 ─ 片麻痺
  2. 内包前脚 ─ 感覚障害
  3. 前頭葉 ─ 半側空間無視
  4. 歯状核 ─ 協調運動障害
  5. 視床 ─ 嚥下障害

解答解説

正解は4(歯状核 ─ 協調運動障害)です。
歯状核は小脳にある構造で、運動の協調性やスムーズな動きを制御する役割を担っています。歯状核に病変が生じると協調運動障害(小脳失調)が発生します。

各選択肢の解説

  1. 延髄背外側 ─ 片麻痺
     誤りです。延髄背外側病変ではワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)が発生し、片麻痺ではなく、顔面と体幹・四肢の交差性感覚障害や嚥下障害、回転性めまいなどがみられます。
  2. 内包前脚 ─ 感覚障害
     誤りです。内包前脚は主に前頭葉からの連絡線維を通しており、感覚障害ではなく運動や認知に関する症状が出現することが多いです。感覚障害は内包後脚の病変で発生します。
  3. 前頭葉 ─ 半側空間無視
     誤りです。半側空間無視は右半球の頭頂葉や側頭葉の病変が主な原因です。前頭葉病変では遂行機能障害や人格変化が主体となります。
  4. 歯状核 ─ 協調運動障害
     正しい選択肢です。歯状核は小脳に位置し、小脳失調による協調運動障害がみられます。歩行失調、四肢の不随意運動、構音障害などが典型的です。
  5. 視床 ─ 嚥下障害
     誤りです。視床は感覚情報の中継に関与しており、感覚障害や意識障害が主な症状です。嚥下障害は延髄の病変でみられることが多いです。

ワンポイントアドバイス

神経系の病変と症状の対応を覚える際は、各構造の主な機能を把握することが大切です。小脳(歯状核)は運動の協調性、前頭葉は遂行機能や認知、視床は感覚の中継といった基本的な役割を理解しておくことで、病変部位から症状を推測しやすくなります。