第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題33

Trendelenburg徴候が生じやすいのはどれか。

  1. 変形性股関節症
  2. 変形性足関節症
  3. 変形性膝関節症
  4. 腰椎分離症
  5. 腰部脊柱管狭窄症

解答解説

正解は1(変形性股関節症)です。
Trendelenburg徴候は、股関節外転筋群(主に中殿筋と小殿筋)の筋力低下や股関節の機能障害によって、片脚立位で反対側の骨盤が下がる現象です。変形性股関節症は、股関節の構造的な変化や疼痛により外転筋の筋力低下や機能障害を引き起こしやすいため、Trendelenburg徴候が生じやすいです。

各選択肢の解説

  1. 変形性股関節症
     正しい選択肢です。股関節の変形や痛みにより、中殿筋や小殿筋の機能低下が起こり、Trendelenburg徴候が生じやすくなります。
  2. 変形性足関節症
     誤りです。足関節の変形性疾患は、歩行時の足部の負荷に影響しますが、股関節外転筋には直接的な影響がないため、Trendelenburg徴候の原因にはなりません。
  3. 変形性膝関節症
     誤りです。膝関節の変形や疼痛により膝の動きや支持能力が低下することがありますが、股関節外転筋には影響しないためTrendelenburg徴候は起こりません。
  4. 腰椎分離症
     誤りです。腰椎分離症は腰部の構造に影響を及ぼし、疼痛や可動域制限を引き起こしますが、股関節外転筋の機能に直接関与することは少ないため、Trendelenburg徴候にはつながりません。
  5. 腰部脊柱管狭窄症
     誤りです。脊柱管狭窄症は神経症状や腰痛を引き起こしますが、股関節外転筋の筋力低下や機能障害は通常起こらないため、Trendelenburg徴候の直接的な原因にはなりません。

ワンポイントアドバイス

Trendelenburg徴候は、股関節外転筋群の筋力低下や股関節の安定性の低下が原因で生じます。変形性股関節症や股関節周囲の疾患が関与することが多いため、これらの疾患と関連付けて理解することが重要です。また、片脚立位で骨盤の動きを観察することで簡単に評価が可能です。