第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題100

うつ病について正しいのはどれか。

  1. 脱感作法を行う。
  2. 心理教育は行わない。
  3. 躁病相がないか確認する。
  4. 修正型電気けいれん療法は無効である。
  5. 薬物療法の第一選択はベンゾジアゼピン系薬物である。

解答解説

正解は3.躁病相がないか確認するです。

うつ病の治療においては、双極性障害の可能性を排除するために躁病相の有無を確認することが非常に重要です。これを怠ると、抗うつ薬のみの治療で躁病相を誘発するリスクが高まり、患者に悪影響を及ぼすことがあります。

選択肢の解説

  1. 脱感作法を行う。
    脱感作法は、恐怖や不安に対処するための行動療法であり、主に恐怖症や不安障害に用いられます。うつ病の治療には適していません。この選択肢は誤りです。
  2. 心理教育は行わない。
    うつ病治療では、患者や家族に病気の性質や治療方法を理解してもらうための心理教育が重要です。これにより患者の回復を促し、再発予防にもつながります。この選択肢は誤りです。
  3. 躁病相がないか確認する。
    双極性障害(躁うつ病)の可能性を排除するために、過去に躁病相があったかどうかを確認することは重要です。この選択肢が正解です。
  4. 修正型電気けいれん療法は無効である。
    修正型電気けいれん療法(MECT)は、重度のうつ病や治療抵抗性のうつ病に対して効果があることが確認されています。この選択肢は誤りです。
  5. 薬物療法の第一選択はベンゾジアゼピン系薬物である。
    うつ病の薬物療法の第一選択は、SSRISNRIなどの抗うつ薬です。ベンゾジアゼピン系薬物は不安や不眠の補助的治療に用いられることがありますが、第一選択ではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

うつ病治療の基本ポイント

  • 正確な診断:双極性障害との鑑別が重要(躁病相の有無を確認)。
  • 治療法:SSRI/SNRIを中心とした抗うつ薬治療、心理教育、必要に応じた精神療法(認知行動療法など)。
  • 修正型電気けいれん療法:重症例や治療抵抗性例で有効。
    適切な治療とサポートにより、症状の改善と再発予防が期待できます。