第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題32

大腿義足の遊脚相において、健側で爪先立ちが観察された。原因として正しいのはどれか。

  1. 義足長が長すぎる。
  2. ソケットの内転角度が大きすぎる。
  3. 切断側の股関節外転筋力が不足している。
  4. 切断側の股関節伸展筋力が不足している。
  5. ソケットの初期屈曲角度が不足している。

解答解説

正解は1(義足長が長すぎる)です。
義足が長すぎる場合、遊脚相で義足が地面に接触しやすくなるため、切断側が十分に振り出せません。その結果、健側の爪先立ち(足底挙上)が起こり、義足が前方に移動しやすくなります。この代償動作は義足の適合が不適切な場合に見られる典型的な問題です。

各選択肢の解説

  1. 義足長が長すぎる
     正しい選択肢です。義足が長すぎると、遊脚相で切断側の義足が十分に振り出せず、健側が爪先立ちをして代償します。
  2. ソケットの内転角度が大きすぎる
     誤りです。ソケットの内転角度が大きすぎる場合は、大腿部に不快感が生じたり、歩行の安定性が低下することがありますが、健側の爪先立ちとは関係ありません。
  3. 切断側の股関節外転筋力が不足している
     誤りです。外転筋力が不足すると立脚相で骨盤が下がるトレンデレンブルグ徴候が出現しますが、健側の爪先立ちは起こりません。
  4. 切断側の股関節伸展筋力が不足している
     誤りです。伸展筋力が不足すると、立脚相で義足側の膝が安定しなくなりますが、健側の爪先立ちとは関連がありません。
  5. ソケットの初期屈曲角度が不足している
     誤りです。ソケットの初期屈曲角度が不足すると、立脚相での前方安定性が損なわれますが、健側の爪先立ちとは直接関係ありません。

ワンポイントアドバイス

義足の適合不良による歩行異常は、原因を的確に判断することが重要です。健側の爪先立ちは、義足が長すぎたり、膝継手の動きが不適切な場合に見られることが多いため、これらの点を優先的に確認するようにしましょう。