第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題27

発症後数か月の脳卒中片麻痺患者。2か月後に予定されている退院時の歩行能力の目標を設定するための情報として、優先度が最も低いと考えられるのはどれか。

  1. 画像所見
  2. 糖尿病の合併
  3. 発症前のADL
  4. 歩行能力の回復経過
  5. Brunnstrom法ステージの回復経過

解答解説

正解は2(糖尿病の合併)です。
歩行能力の目標を設定するためには、現在の回復状況や運動機能に関する情報が重要です。糖尿病は全身の状態や合併症に関与しますが、歩行能力そのものの回復予測や目標設定においては直接的な影響が少ないため、優先度は低いと考えられます。

各選択肢の解説

  1. 画像所見
     脳卒中の病変部位や障害の程度は回復の可能性や運動機能の予測に関わるため、歩行能力の目標設定には重要な情報です。
  2. 糖尿病の合併
     糖尿病は長期的な回復に影響を及ぼす可能性はありますが、歩行能力の短期的な目標設定には直接的な関与が少ないため、優先度は低いです。
  3. 発症前のADL
     患者の発症前のADL(歩行能力や活動レベル)は、回復可能な目標を設定する上で重要な情報です。現実的なリハビリテーション計画を立てるために必要です。
  4. 歩行能力の回復経過
     現在の歩行能力や回復状況は、退院時の目標設定のために最も直接的な指標となります。重要な情報です。
  5. Brunnstrom法ステージの回復経過
     運動機能の回復段階を示すBrunnstrom法ステージは、今後の回復予測に必要な情報です。歩行能力を含めた目標設定の際に優先的に考慮します。

ワンポイントアドバイス

リハビリテーション目標を設定する際は、患者の現在の状態(歩行能力や運動機能の回復経過)や過去の機能(発症前のADL)、脳卒中の影響を踏まえた情報(画像所見やBrunnstrom法ステージ)が重要です。糖尿病などの慢性疾患は長期的な健康管理に重要ですが、歩行目標の短期的な設定では優先度が低くなります。