第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題26

加齢により増加するのはどれか。

  1. 脳血流量
  2. 肺残気量
  3. 基礎代謝量
  4. 消化液分泌量
  5. メラトニンの夜間分泌量

解答解説

正解は2(肺残気量)です。
加齢により、呼吸器機能では弾性収縮力の低下や胸郭の硬化が生じるため、肺残気量(呼気の後に肺内に残る空気の量)は増加します。一方で、肺活量や換気量などは減少します。

各選択肢の解説

  1. 脳血流量
     誤りです。加齢により脳血流量は低下します。特に大脳皮質や白質の血流が減少することが知られています。
  2. 肺残気量
     正しい選択肢です。加齢に伴い肺の弾性力が低下することで、肺残気量が増加します。これにより、効率的な換気が妨げられることがあります。
  3. 基礎代謝量
     誤りです。加齢により筋肉量が減少するため、基礎代謝量は低下します。高齢者ではエネルギー消費が減少する傾向にあります。
  4. 消化液分泌量
     誤りです。消化液分泌量(胃酸や膵液など)は加齢に伴い減少します。これが消化機能の低下や栄養吸収の障害を引き起こすことがあります。
  5. メラトニンの夜間分泌量
     誤りです。加齢によりメラトニン分泌量は減少します。その結果、睡眠の質が低下しやすくなります。

ワンポイントアドバイス

加齢に伴う身体機能の変化は、増加するものと減少するものに分けて整理すると覚えやすいです。肺残気量の増加や脳血流量の減少など、臨床で高齢者を支援する際に役立つ知識として押さえましょう。また、これらの変化は運動療法や生活指導の設計にも影響を与えるため、適切な対応が求められます。