第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題59

中耳について正しいのはどれか。

  1. キヌタ骨は鼓膜に接している。
  2. 耳管に分布する動脈は迷路動脈である。
  3. アブミ骨筋の支配神経は下顎神経である。
  4. キヌタ骨の短脚はアブミ骨と関節を形成する。
  5. アブミ骨底は内耳の前庭窓にはまり込んでいる。

解答解説

正解は5.アブミ骨底は内耳の前庭窓にはまり込んでいる。です。
アブミ骨底は中耳の最内側に位置し、内耳の前庭窓(卵円窓)にはまり込んでいます。この構造を介して音の振動が中耳から内耳へと伝わります。中耳の構造を正確に理解することは、聴覚のメカニズムを把握するうえで重要です。

選択肢の解説

  1. キヌタ骨は鼓膜に接している
    キヌタ骨は鼓膜に接していません。鼓膜にはツチ骨が直接接しており、キヌタ骨はツチ骨とアブミ骨の間で振動を伝える役割を果たします。この選択肢は誤りです。
  2. 耳管に分布する動脈は迷路動脈である
    耳管に分布する動脈は上咽頭動脈や内頸動脈などの枝であり、迷路動脈は内耳を栄養する動脈です。この選択肢は誤りです。
  3. アブミ骨筋の支配神経は下顎神経である
    アブミ骨筋の支配神経は顔面神経(第VII脳神経)です。下顎神経(三叉神経の第III枝)は咀嚼筋を支配するため、この選択肢は誤りです。
  4. キヌタ骨の短脚はアブミ骨と関節を形成する
    キヌタ骨の長脚がアブミ骨と関節を形成します。短脚は中耳腔内での支持構造に関与しており、この選択肢は誤りです。
  5. アブミ骨底は内耳の前庭窓にはまり込んでいる
    アブミ骨底は内耳の前庭窓(卵円窓)にはまり込み、音の振動を内耳に伝える役割を果たします。この選択肢が正しいです。

ワンポイントアドバイス

中耳の構造はツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つの耳小骨が音の振動を伝えるシステムとして重要です。特に、アブミ骨底が前庭窓に接している点は頻出事項であり、聴覚の伝達経路と合わせて覚えると効果的です。