68歳の男性。2型糖尿病、脂質異常症。身長160cm、体重85.0kg、体脂肪率38%。血液検査は、HbA1c 8.2%、空腹時血糖145mg/dL。仕事は管理職でデスクワーク中心。一日の歩数は3,550歩(同年代歩数7,157歩)。筋力低下、感覚障害、関節可動域制限は認めない。運動療法で誤っているのはどれか。
- 食事の時間後に実施する。
- 筋力増強運動は週2〜3回行う。
- 身体活動量増加のための生活指導を行う。
- 有酸素運動は1回10分、週に合計40分程度行う。
- 有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50%程度とする。
解答解説
正解は4(有酸素運動は1回10分、週に合計40分程度行う)です。
2型糖尿病の運動療法では、有酸素運動は1回20〜60分、週150分以上行うことが推奨されています。週に合計40分程度では不十分であり、適切な運動量を確保する必要があります。
各選択肢の解説
- 食事の時間後に実施する
糖尿病患者では、食後の血糖値上昇を抑えるために、食後1〜2時間後に運動を行うことが推奨されています。このため、正しい選択肢です。 - 筋力増強運動は週2〜3回行う
糖尿病患者における筋力増強運動は、週2〜3回の頻度で行うことが推奨されています。これにより、筋肉量の維持や基礎代謝の向上が期待できます。正しい選択肢です。 - 身体活動量増加のための生活指導を行う
管理職でデスクワーク中心の患者に対し、歩数を増加させる生活指導は非常に重要です。身体活動量の増加は、糖尿病管理に効果的であるため、正しい選択肢です。 - 有酸素運動は1回10分、週に合計40分程度行う
1回10分の運動は糖尿病患者における最低限の運動時間ですが、週150分以上の運動が推奨されています。週合計40分では不十分であり、誤りです。 - 有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50%程度とする
有酸素運動の推奨強度は、最大酸素摂取量の50〜70%程度(または自覚的運動強度が「ややきつい」程度)です。これは正しい選択肢です。
ワンポイントアドバイス
2型糖尿病の運動療法では、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることが効果的です。特に、週150分以上の有酸素運動は血糖管理に重要であり、歩行や軽いジョギングなどの運動を生活に取り入れる指導が求められます。適切な運動量と頻度を意識しましょう。