第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題18

45歳の女性。遠位型ミオパチー。下肢筋力低下が徐々に進行し両側の下垂足を認める。最近つまずいて転倒することや捻挫することが多くなり装具を検討し歩行の改善を目指すことになった。下肢筋力を表に示す。最も適切な装具はどれか。

  1. PTB短下肢装具
  2. 足関節軟性装具
  3. スウェーデン式膝装具
  4. 金属支柱付き長下肢装具
  5. プラスチック短下肢装具

解答解説

正解は5(プラスチック短下肢装具)です。
本症例では、両側の下垂足があり、足関節底屈筋力が低下している(MMT 1)ことが確認されます。このため、足関節を支持し、つまづきや捻挫を防ぐ装具が必要です。プラスチック短下肢装具(AFO)は、軽量で足関節の支持に適しており、歩行時の足部の安定性を提供します。

各選択肢の解説

  1. PTB短下肢装具
     主に脛骨や膝関節の荷重軽減を目的とした装具です。下垂足には適していません。
  2. 足関節軟性装具
     足関節の動きをある程度許容する装具ですが、今回のように筋力低下が著明で足部が十分に安定しない場合には適応が不十分です。
  3. スウェーデン式膝装具
     膝関節の不安定性をサポートする装具であり、膝筋力が低下していない今回のケースでは適していません。
  4. 金属支柱付き長下肢装具
     膝関節を含む支持力が必要な場合に使用しますが、今回の患者では膝関節伸展筋力がMMT 3であるため、長下肢装具の必要性はありません。
  5. プラスチック短下肢装具
     軽量で足関節の支持に優れた装具で、今回のような下垂足に最適です。足部を安定させ、つまづきや捻挫を防ぐ役割を果たします。

ワンポイントアドバイス

下垂足は、足関節背屈筋群の筋力低下によるもので、歩行時に足が引っかかり転倒のリスクが高まります。プラスチック短下肢装具(AFO)は、足関節の背屈補助と安定性の提供に特化しており、遠位型ミオパチー患者の歩行改善において第一選択となります。