50 歳の男性。左下腿切断。義足歩行練習中に左側の踵接地から立脚中期までに急激な膝屈曲が生じた。
考えられる原因はどれか。 2 つ選べ。
1. 足部が底屈しすぎている。
2. 足部後方バンパーが硬すぎる。
3. ソケット初期屈曲角が大きすぎる。
4. ソケットが足部に対して後方すぎる。
5. ソケット初期内転角が不足している。
解答解説
正解は 2. 足部後方バンパーが硬すぎる および 3. ソケット初期屈曲角が大きすぎる です。
義足歩行中に踵接地から立脚中期に急激な膝屈曲が生じる場合、主に膝に不必要な屈曲モーメントがかかっている可能性があります。これには以下の2つの要因が関与していると考えられます。
- 足部後方バンパーが硬すぎると、踵接地時に義足足部が十分に底屈できず、膝が過剰に屈曲してしまいます。
- ソケット初期屈曲角が大きすぎると、義足の構造上、膝が強制的に屈曲しやすくなり、踵接地から立脚中期での急激な膝屈曲が起きやすくなります。
選択肢の解説
- 足部が底屈しすぎている
足部が底屈しすぎている場合は膝が伸展する方向に力がかかりやすく、今回の急激な膝屈曲とは逆の現象が生じやすいため、誤りです。 - 足部後方バンパーが硬すぎる
正解です。後方バンパーが硬いと、踵接地時に足部が適切に底屈できず、膝が屈曲するモーメントが発生しやすくなります。 - ソケット初期屈曲角が大きすぎる
正解です。ソケット初期屈曲角が大きすぎると、膝が強制的に屈曲しやすくなるため、立脚初期での急激な膝屈曲が生じやすくなります。 - ソケットが足部に対して後方すぎる
ソケットが足部に対して後方に位置すると、膝が伸展するモーメントがかかりやすくなり、急激な膝屈曲は起こりにくくなります。したがって不適切です。 - ソケット初期内転角が不足している
ソケットの内転角不足は義足側の内外反に影響するものの、膝屈曲には大きな影響を与えません。したがって本症状とは関連が薄いです。
ワンポイントアドバイス
義足の歩行訓練において膝の動きに異常がある場合、義足の各部位の角度設定やバンパーの硬さが影響することが多いです。特に立脚初期から中期での急な膝屈曲には、ソケットの初期屈曲角と後方バンパーの硬さが関与するため、歩行の際にこれらの要素を確認することが大切です。