健常成人に対して自転車エルゴメーターを用いて10Wattsから開始し、分間に15Watts増加させるランプ負荷法で自覚的最大運動強度まで運動負荷を行った。その際の呼吸循環代謝指標の変化を図に示す。縦軸は一回拍出量、横軸は時間経過を示す。一回拍出量の変化を示すのはどれか。
- 図1
- 図2
- 図3
- 図4
- 図5
解答解説
正解は1.図1です。
一回拍出量(stroke volume)は、心臓が1回の拍動で拍出する血液量を指します。運動時、一回拍出量は運動負荷が増加するにつれて一時的に増加しますが、一定のレベル(一般的に中等度運動時)に達すると頭打ち(plateau)となります。図1はこの一回拍出量の特徴的な変化を正確に表しています。
選択肢の解説
- 図1
正しいです。 運動開始後、初期段階で一回拍出量は増加しますが、ある時点で増加が鈍化し、一定値を保つ(plateau)状態になります。これは、一回拍出量が心筋の収縮力や静脈還流量によって制限されるためです。この特徴が図1で示されています。 - 図2
図2は一回拍出量が直線的に増加している様子を示していますが、実際には一回拍出量は一定レベルに達すると増加が止まるため、この描写は不適切です。 - 図3
図3は指数関数的に一回拍出量が増加するような描写ですが、これは現実的ではありません。一回拍出量は中等度運動でplateauに達するため、この選択肢も不適切です。 - 図4
図4は運動開始直後から急激に増加し、その後もゆるやかに増加し続けていますが、一回拍出量がplateauに達する現象を示しておらず、不適切です。 - 図5
図5は運動中に一回拍出量が直線的に増加し続ける描写ですが、実際にはplateauが形成されるため、誤りです。
ワンポイントアドバイス
一回拍出量の運動時変化は、運動生理学における重要なポイントです。 中等度運動まで一回拍出量は増加し、その後plateauを形成する特徴を理解しておくことが大切です。一方で、運動強度がさらに増すと、心拍数の増加が一回拍出量の上昇を補う形で心拍出量を増加させます。このメカニズムの理解が試験対策に役立ちます。