75歳の女性が誤嚥性肺炎を患い、喀痰培養でMRSAが検出された。マスク、手袋、ガウンを装着したうえで、病棟個室で肺理学療法を開始した。このケースにおける感染予防策について正しいのはどれか。
- N95マスクを装着する。
- 個室のドアは開放してはならない。
- ガウンは退室時病室内で脱いで廃棄する。
- 退室時手袋を装着したままドアノブに触れて開ける。
- 手袋を装着していれば手指消毒は不要である。
解答解説
正解は3.ガウンは退室時病室内で脱いで廃棄するです。
このケースでは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染が疑われるため、接触感染予防策が必要です。接触感染予防策では、患者の部屋内で使用した防護具(ガウン、手袋など)は、室内で脱いで廃棄することが基本です。こうすることで、汚染が他の場所に拡散するのを防ぎます。さらに、手袋をしていても手指消毒は必須です。
選択肢の解説
- N95マスクを装着する。
誤りです。N95マスクは空気感染(例:結核、麻疹、水痘など)を予防する際に必要です。MRSAは主に接触感染で広がるため、サージカルマスクで十分対応可能です。 - 個室のドアは開放してはならない。
誤りです。接触感染予防策では必ずしもドアを閉める必要はありません。ただし、周囲への汚染リスクを考慮し、可能な限り閉めることが推奨されます。この記述は厳密には正解とは言えません。 - ガウンは退室時病室内で脱いで廃棄する。
正しいです。接触感染予防策において、汚染物の外部持ち出しを防ぐため、ガウンや手袋は患者の部屋内で脱ぎ、適切に廃棄します。この対応は感染防止の基本となります。 - 退室時手袋を装着したままドアノブに触れて開ける。
誤りです。手袋が汚染されている場合があるため、手袋を装着したままドアノブに触れることは感染拡大のリスクを高めます。退室時には手袋を室内で廃棄し、清潔な手でドアを開ける必要があります。 - 手袋を装着していれば手指消毒は不要である。
誤りです。手袋を装着していても、手袋の脱着時に手指が汚染される可能性があります。感染予防の観点から、手袋装着後でも手指消毒は必ず行うべきです。
ワンポイントアドバイス
MRSAは主に接触感染で広がるため、標準予防策(手指衛生、適切な防護具の使用)に加え、接触感染予防策(患者ごとの器具管理や個室隔離)が必要です。特に、防護具の廃棄場所やタイミングを守ることが感染拡大を防ぐポイントです。