振戦せん妄で正しいのはどれか。
- 生命への危険性は低い。
- 羽ばたき振戦がみられる。
- ベンゾジアゼピン系薬を使用する。
- 飲酒停止後 24 時間以内に多くみられる。
- アルコール血中濃度の上昇に伴って生じる。
解答解説
正解は 3.ベンゾジアゼピン系薬を使用する です。
振戦せん妄(Delirium Tremens) は、アルコール依存症患者が飲酒を突然中止または減少した際に起こる重篤なアルコール離脱症状の一つです。治療にはベンゾジアゼピン系薬が用いられ、生命を脅かす状態であるため、早期の適切な治療が必要です。以下、各選択肢について詳しく解説します。
各選択肢の解説
- 生命への危険性は低い
振戦せん妄は、適切な治療が行われない場合、生命に危険を及ぼす可能性が高い疾患です。重度の場合は、全身けいれんや多臓器不全を引き起こし、致死的となることがあります。この選択肢は誤りです。 - 羽ばたき振戦がみられる
羽ばたき振戦(アステリクシス)は肝性脳症や尿毒症などで見られる症状であり、振戦せん妄の特徴的な所見ではありません。振戦せん妄では、手指の細かな振戦(意図振戦)や全身の興奮症状が見られることが一般的です。この選択肢は誤りです。 - ベンゾジアゼピン系薬を使用する(正解)
振戦せん妄の治療には、ベンゾジアゼピン系薬が第一選択として用いられます。この薬剤は、中枢神経を抑制し、離脱症状を緩和するとともに、けいれん発作の予防にも効果があります。この選択肢が正しいです。 - 飲酒停止後 24 時間以内に多くみられる
振戦せん妄は通常、飲酒を中止してから48~72時間後に発症することが多いです。飲酒停止直後に見られるのは、軽度のアルコール離脱症状(振戦、不安、発汗など)であり、振戦せん妄とは時間的に異なります。この選択肢は誤りです。 - アルコール血中濃度の上昇に伴って生じる
振戦せん妄はアルコール血中濃度が低下する、つまり飲酒を中止または減量した際に発症します。アルコール血中濃度の上昇によって起こるものではありません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
振戦せん妄は、アルコール離脱症状の中でも最も重篤な状態であり、適切な治療を行わない場合の致死率は高いです。治療の基本はベンゾジアゼピン系薬の投与であり、必要に応じて輸液やビタミンB1補充(ウェルニッケ脳症の予防)を行います。また、発症時期(飲酒停止48~72時間後)を覚えておくことが試験対策に役立ちます。