中枢神経発生に伴う先天奇形とその特徴の組合せで正しいのはどれか。
- 滑脳症――脳溝増加
- 全前脳胞症――顔面外側の欠損
- 二分脊椎――水頭症合併
- Arnold-Chiari 奇形――脊髄の頭蓋内嵌入
- Dandy-Walker症候群――後頭蓋縮小
解答解説
正解は3.二分脊椎――水頭症合併です。
二分脊椎は、脊椎の形成異常による先天奇形であり、多くの場合水頭症を合併します。これは、二分脊椎に伴う髄液循環障害が原因です。水頭症を合併すると、シャント術などの治療が必要になることがあります。
各選択肢の解説
- 滑脳症――脳溝増加
誤り。滑脳症(リスエンセファリー)は、大脳皮質の形成異常で脳溝や脳回が減少または消失する疾患です。脳溝増加はむしろ異なる病態です。 - 全前脳胞症――顔面外側の欠損
誤り。全前脳胞症(ホロプロセファリー)は、前脳の分離が不完全で、正中部の奇形(例:単眼症、正中部唇裂)を伴うことが特徴です。顔面外側の欠損は典型的ではありません。 - 二分脊椎――水頭症合併
正解。二分脊椎では、特に開放型二分脊椎(脊髄髄膜瘤)の場合に、水頭症を合併することが多いです。髄液の循環障害が原因で、頭蓋内圧が上昇します。 - Arnold-Chiari 奇形――脊髄の頭蓋内嵌入
誤り。Arnold-Chiari奇形は、小脳扁桃や延髄が頭蓋内から脊柱管内に嵌入する疾患です。「脊髄が頭蓋内に嵌入する」は誤りです。 - Dandy-Walker症候群――後頭蓋縮小
誤り。Dandy-Walker症候群は、後頭蓋の拡大、小脳虫部の欠損、第四脳室の拡大が特徴です。後頭蓋の縮小ではありません。
ワンポイントアドバイス
中枢神経発生に伴う先天奇形を整理しましょう:
- 滑脳症:脳溝や脳回が消失。精神発達遅滞やてんかんを伴う。
- 全前脳胞症:正中部の顔面奇形(単眼症、正中部唇裂)。
- 二分脊椎:水頭症や下肢麻痺を合併することが多い。
- Arnold-Chiari奇形:小脳扁桃や延髄が脊柱管内に嵌入。
- Dandy-Walker症候群:後頭蓋拡大、第四脳室拡大、小脳虫部の欠損。
各疾患の特徴を押さえることで、臨床での鑑別診断に役立ちます。