慢性閉塞性肺疾患の急性増悪時の動脈血ガス分析の所見はどれか。
- 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧低下
- 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧正常
- 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧上昇
- 酸素分圧正常、二酸化炭素分圧低下
- 酸素分圧正常、二酸化炭素分圧上昇
解答解説
正解は3.酸素分圧低下、二酸化炭素分圧上昇です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪では、気道閉塞や換気障害が悪化し、低酸素血症(酸素分圧低下)と高炭酸ガス血症(二酸化炭素分圧上昇)を引き起こします。また、二次的に呼吸性アシドーシスも認められることがあります。
各選択肢の解説
- 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧低下
誤り。二酸化炭素分圧が低下するのは過換気がある場合(例:過換気症候群など)であり、COPD急性増悪では高炭酸ガス血症が見られます。 - 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧正常
誤り。COPD急性増悪では、二酸化炭素分圧の上昇(高炭酸ガス血症)が特徴であり、正常にはなりません。 - 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧上昇
正解。COPD急性増悪では、換気障害により酸素分圧が低下し、二酸化炭素分圧が上昇します。この状態が持続すると呼吸性アシドーシスに陥ります。 - 酸素分圧正常、二酸化炭素分圧低下
誤り。酸素分圧が正常で二酸化炭素分圧が低下するのは、過換気状態を示す所見であり、COPD急性増悪には当てはまりません。 - 酸素分圧正常、二酸化炭素分圧上昇
誤り。COPD急性増悪では酸素分圧が低下するため、酸素分圧が正常であることは考えにくいです。
ワンポイントアドバイス
COPD急性増悪の動脈血ガス分析の特徴:
- 低酸素血症(PaO₂低下):酸素の取り込みが障害されるため。
- 高炭酸ガス血症(PaCO₂上昇):換気不全による。
- 呼吸性アシドーシス:二酸化炭素の蓄積により血液が酸性化。
COPD患者では、急性増悪時に低酸素血症を改善するために酸素療法を行いますが、高濃度酸素の投与は呼吸抑制のリスクがあるため注意が必要です。