6歳の男児。1か月前から左足部痛を訴えた。エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
- Sever病
- 舟状骨骨折
- Freiberg病
- 足根骨癒合症
- 第Köhler病
解答解説
正解は5.第Köhler病です。
第Köhler病は、舟状骨に発生する骨端症で、6歳前後の男児に好発します。舟状骨に虚血性壊死が生じることで、痛みや跛行を訴えるのが特徴です。X線写真では、舟状骨の扁平化や硬化像が認められます。本症例では、舟状骨の変形がX線で確認でき、小児での発症という点からも第Köhler病が最も考えられます。
選択肢の解説
- Sever病
Sever病は踵骨骨端症で、踵骨の骨端に負荷がかかることで生じます。主に10歳前後の小児に多く、踵部の痛みが主訴です。本症例の痛みの部位や年齢層、X線所見は一致しないため、この選択肢は誤りです。 - 舟状骨骨折
舟状骨骨折は外傷が原因で発生することが多く、明確な外傷歴が伴う場合がほとんどです。今回の症例では外傷の記載がなく、X線所見も骨折より第Köhler病を示唆するものです。この選択肢は誤りです。 - Freiberg病
Freiberg病は、第2中足骨頭に発生する骨端症で、通常は思春期の女性に多い疾患です。本症例では舟状骨に病変があり、Freiberg病と一致しません。この選択肢は誤りです。 - 足根骨癒合症
足根骨癒合症は、足根骨が先天的に癒合することにより発症する疾患であり、痛みは運動時に悪化することが特徴です。今回のX線写真には足根骨の癒合は認められず、この選択肢は誤りです。 - 第Köhler病
第Köhler病は舟状骨に発生する骨端症で、幼児期の男児に多くみられます。X線写真で舟状骨の扁平化と硬化像が確認されることが診断の決め手です。本症例の年齢、症状、X線所見が一致しており、この選択肢が正解です。
ワンポイントアドバイス
第Köhler病は、小児の舟状骨に特異的な骨端症です。診断にはX線所見で舟状骨の扁平化や硬化を確認することが重要です。この疾患は一般的に自然治癒するため、安静を保つことが治療の中心となります。Sever病やFreiberg病など他の骨端症との違いを覚えておきましょう。